2015.11.29
民間と公共 -大阪の市バス
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
何かにつけて、地方公共団体の運営も「効率的」に、とか、「民間企業並み」に、といったことが叫ばれます。
たとえば、10月19日の日本経済新聞。「地方財政が改善 公営企業は暗転」という記事の中に登場したのが、大阪市の市営バスです。
「14年度に新たに債務超過になった(債務超過額)3位の大阪市のバスは、借入金の負債計上が響いた。運転手など職員が多いため、退職給付引当金も総資産の4割に当たる約74億円を新たに積んだ。同市交通局は「経営再建に向け民営化を検討中」と話す」。
別の視点から、大阪市の市営バスを見てみましょうか。元運転手の方は、こんなことをおっしゃっています。
「大阪の交通局で市バスの運転手として約36年働きました。保育所や学校から学校の行事や試合などでバスを出してほしいと要請があれば、いつものダイヤとは別で直ぐにバスを出したりもしていました。バスの台数も運転手も多かったからこそ、できていたことだと思います。市民の要望にすぐに応えることができてたんです。でも今は、バスの台数も運転手も減ったので、交通局は市民の急な要望には応えることができません」。
「今までは、採算だけでなく市民のことも考えやってきたんです。大阪維新は、バスは赤字だから必要がないと言わんばかりです。でも、バスが赤字なのは当たり前なんですよ。たとえば、堺筋なんかは交通量が多くてバスは走れないので、地下鉄を通した。バスと地下鉄が補い合っているんです。そういうことは、私たち働く者たちが意見を出し合って実現してきました」。
(以上、SEALDs KANSAI ホームページより。http://sealdskansai-real.strikingly.com/)
企業運営と、自治体運営が同じでいいのか。
効率とか、民間とか、それらしく聞こえる言葉に躍らされることなく、冷静に考えるようにしたいものです。