2023.12.10

変化しようとする

こんにちは、公(会計)ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 いそがしいですか? これからいそがしくなりますね。

 そんな風に聞かれたり、語りかけられたりして、「そうですね」と答えるとウソになると思い、「そんなにいそがしくないですよ」と答えるようにしています。もちろん、3月や5月など、所得税や法人税の申告が重なる時期は、物理的に業務が重なるもの。それでも、電子申告や電子納税を導入する前と比べれば、少なくとも30%ほど仕事は効率化されている気がしています。

 では、空いた30%の時間で何をしているのか。何をしているのでしょう。ブログやメールマガジンを書いていますが、電子申告前から書いていました。

 この公会計ブログのフォルダを見ると、793項目のテキストデータが収納されています。最初のデータの日付を見ると、2009年2月でした。コロナ前どころか、大震災前でもあり、まだ30代! タイトルを眺める限り、当時は、真面目に「公会計」の話題を書いていました。

 そのうち、だんだん「会計」が抜けていき、何とか「公」という制約は意識しながら文章を綴ってきたような気がします。

「公」を小学館のデジタル大辞泉で調べると、次の意味が解説されていました。

1 政府。官庁。また、国家。
2 個人の立場を離れて全体にかかわること。社会。公共。世間。

 社会や世間も含めますので、言い換えれば何でもありで制約はないということ。「会計」の跡形はとうになくなり、最近は、もはや「公」の縛りもなく、開き直って月やら動物やらの写真をアップしたこともありました。

 今回の更新をもって、公会計ブログの更新を終了します。これまで読んでくださった皆様には感謝しかありません。駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

 個人のブログにも週休2日制を導入したり、メールマガジンの配信時間を緩めたり、文章を書くことも少しずつ体制を見直しています。もちろん、本業の仕事の進め方や知識の更新も、さらに磨いていかなければなりません。

 ありがたいことに、10周年記念パーティのスピーチで話をさせていただいた「初心」のことを覚えてくださっている方もいるようです。常に変わり続けなければ、老害をまき散らすことになりかねません。このブログの最後に、スピーチの題材となった能楽師、安田登さんの記述を引用しておきます。

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 世阿弥は「初心、忘るべからず」といいました。
 初心の「初」の字は「衣」と「刀」です。着物をつくるときに、布地に最初に鋏を入れること、それが「初」です。着物をつくるときには、それがどんなに美しい生地であっても、そこに鋏を入れなければつくれない。それと同じように、人は変化しようとするとき、どんなに辛くとも自分自身に鋏(刀)を入れ、過去の自分を切り捨てなければならない。そのように過去をどんどん切っていきながら、変化し続けなくてはならない、その教えが「初心、忘るべからず」です。

(『あわいの心』、ミシマ社、P.102)
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 今年は、変化しようとする1年だったのだと思います。いや、「変化しようとする」と「結果的に変化することになった」が混在した1年でした。後になって、いい方向に変化できたと振り返ることができるよう、前を向いて筆を置くことにします。


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