2023.11.18
まずは知ること
こんにちは、公(会計)ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
週末、時間があるときに、録画していたドキュメンタリー番組があれば見るようにしています。今日はNHKの『オモニの島 わたしの故郷 ~映画監督・ヤンヨンヒ~』でした。
といっても、放送されたのは今年の1月21日。週末に見る時間がなかったのではなく、そう軽々しく見られない話題のように感じていたのです。
「在日コリアン2世の映画監督・ヤンヨンヒさん。日本と北朝鮮に引き裂かれた自らの家族を描いてきたヨンヒさんが最新作でカメラを向けたのは母親の壮絶な体験、朝鮮半島の南の島で起きた虐殺事件、チェジュ島4・3事件だった。映画は去年秋、韓国でも公開、大きな話題を呼んだ。なぜ兄たちを北に送ったのか、母親の真実に向き合うヨンヒさん。自分は何者の娘なのか、映画を通じて問い続けてきた半世紀にわたる心の軌跡を見つめる」(番組ホームページより)。
何度も感情が揺さぶられました。人間はどうしようもなく時代に振り回されて生きている、と語っていたのは誰だったか。韓国、日本、そして戦後、南北に分断された北朝鮮と韓国の狭間で苦悩する家族の姿は、時代に翻弄された葛藤以外の何物でもありません。
『ディア・ピョンヤン』(2005)、『かぞくのくに』(2012)、そして『スープとイデオロギー』(2021)。家族の姿を描くことで、北に渡った3人の兄たちにどんなことが起きるかは予測不能です。でも、ヤンヨンヒ監督は語っていました。
「「それでも撮るのか」と言われて、「撮らない」とは言いたくない。そうやってこれまで黙らせてきたんだから、そういうことを繰り返したくはない。それくらいの覚悟じゃないと、映画はつくれない」。
でも、一方で、映画で世界を変えられるとは思っていないとも。ただ、自分の映画を見た人が少しでも立ち止まって考えてくれることを願っています、と。
『福田村事件』を撮った映画監督の森達也さんも同じことを語っていました。「僕は啓蒙家でもないし、ジャーナリストでもありません。この国を変えようと思って映画をつくっているわけでもありません。たかが映画です。でも、この映画を見てくれた人が「この国はちょっとおかしいぞ」と思ってくれたら。そう考える人が増えていけば、もしかしたらこの国は変わるかもしれません」(5日、毎日)。
まずは知ること。知らないことは仕方ないとして、知ろうとしないことは歴史への怠慢です。