2015.08.02
新方式が広がれば
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
かつての基準モデルと改訂モデルが統合され、新しい会計方式での財務書類導入が、総務省主導で進められています。
今年に入って基準が公表され、その中では、3年後の平成29年度までに全地方公共団体で新しい会計方式を整備することが求められています。
先日(7月28日)の日経新聞によれば、全国自治体の98.2%にあたる1755団体が平成29年度までに新基準による財務書類を整備するとのこと。総務省は、
「(新方式が広がれば)古くなった施設の統廃合や再整備が効率的にできるようになる」
と述べています。
違うんじゃないかなあ。
そのコメントを読んで、そう思いました。
早い段階で委員会設置会社に移行し、統治の優等生と言われた東芝。その東芝に何が起こったのかは、報道を見ての通りです。
制度を運用するのは、人。思想家で武道家の内田樹先生は、制度についてこうおっしゃっています。
「制度設計がどれほど適切でも、運用者に知恵と技能がなければ、制度は機能しない。逆にどんな不出来なシステムでも、「想定外のできごと」に自己責任で対処できる「まともな大人」が要路に一定数配されていれば、システムクラッシュは起きない」(5月22日「内田樹の研究室」より)。
公会計でも同じでしょう。新しい会計方式が入ったからうまくいく、というのは、やや単純に過ぎるのではないでしょうか。
施設の統廃合1つ取っても、様々な人が絡んでくる話ですので、現場ではかなり泥臭い仕事もしなければ事は進まない。そう思います。
制度を運用するのは人。新しい制度が入った今だからこそ、あらためて認識する必要があるのではないかと、私は思います。