2015.07.26
税収の予測
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
7月24日の日経新聞「大機小機」は、7月3日に財務省から公表された2014年度の国の決算に関する内容でした。
公表されたのは、税目別の税収内訳および前年比。まず、その概要をまとめてみましょう。
税収全体:46.9兆円→53.9兆円(+7兆円)
所得税:15.5兆円→16.8兆円(+1.3兆円)
法人税:10.5兆円→11.0兆円(+0.5兆円)
消費税:10.8兆円→16.0兆円(+5.2兆円 ※)
※ 内、税率引き上げによるもの4.9兆円、それ以外0.3兆円
こうした数字について、大機小機では、
・消費税率引き上げによって法人税や所得税の減収が起こるという議論は間違いであったこと
・給与所得による伸びは低く、賃金増は浸透していないこと
・外国子会社からの配当を非課税としたことにより、企業収益は改善したものの、法人税収が伸びていないこと
を指摘しています。
その後、議論は先日政府が公表した中長期財政試算の話となり、大幅な自然増収(税収アップ)が見込まれていることについて、根拠が乏しいとして、こう述べています。
「税収を予測するには経済構造の変化を反映した冷静な分析が必要だ」
確かに、その通りなのだと思います。ただ、私は少し違うことを考えていました。税収を予測するにあたって、もっと重要なことが2つあるだろう、と。
ひとつは、予測ははずれる、という覚悟を持つこと。税収の予測なんて、あまりにも不確定要素が多すぎて、読みきれるはずがありません。企業ですら、1年間の業績を予測するのは極めて困難。逆に、完全に予測できる企業活動など、何の創造性もない企業活動ということにもなりかねません。
そして、もうひとつが、予測ははずれるという前提のもと、はずれたときの二の矢、三の矢を準備しておくこと。繰り返しますが、予測ははずれます。だったら、予測があたりますようにと祈るよりも、はずれたときの「次の手」を準備しておくことが必要でしょう。
いくら根拠を積み上げたところで、予測は予測。その予測に固執することは、祈祷(@小幡績さん)と同じくらい異次元なこと。
予測ははずれる。その前提で物事を考えておくことが必要だと、私は思います。