2015.07.12
単式簿記システムの誤り
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
ギリシャ問題が、ぎりぎりの局面を迎えています。まったく譲り合わなかったEUとギリシャが、徐々に局面打開に向けて動き出しているようにも思えます。
先日、このギリシャ問題について、「ギリシャ危機、金融メディアが語らない10のこと」という記事が、ウォールストリートジャーナル誌に掲載されました。
(http://jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598)
その中に、こんな記述があります。
「国というものは、財政緊縮でマネーを「創出」できない。ギリシャとトロイカ(※)の話し合いは、ギリシャ政府がどれほど増税ないし支出削減すべきかをめぐって決裂した。これは「単式簿記」システムの誤りに基づいている。それでも、広い範囲(尊敬すべき報道機関をも含む)で繰り返されている。ある国が増税ないし支出削減しても、全体としてマネーを創出しない。それは、一つの手から別の手にマネーが移動するだけだ。」
(※)欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)のこと
単式簿記の誤り?
さて、何のことだろう、と考えたのですが、政府の現金に着目すれば、増税や支出削減で改善することはできる。ただ、それでは国民の現金が政府に移っただけと考えられ、ギリシャ全体で新しい現金を創出できているわけではない。政府と国民を「連結」して考えれば、何の解決にもなっていない。
そんな意味でしょうか。
だとすれば、単式簿記の誤りというよりも、政府部門単体思考の誤り、と言えるのかもしれません。
民主主義の起源とも言われ、オリンピック発祥の地でもあるギリシャ。でも、財政問題も、民主主義も、オリンピックも、ギリシャに負けずとも劣らない問題を抱えている国が、私たちのすぐ足元にあるのではないでしょうか。