2015.06.28
都市か地方か
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
高齢者の地方移住。
そんな「処方箋」が日本創成会議から提言されたのが1か月ほど前でしょうか。その座長を務める増田寛也さんと、慶應義塾大学教授の片山善博さんへのインタビュー記事が、25日の日経新聞に掲載されていました。
さらに遡ること数か月前に、日本創成会議から「地方消滅」へのアラームが鳴らされたことが、今回の記事のきっかけでしょう。
ともに63歳で、ともに総務相経験者のお2人。少し発言の内容を見ておきましょう。まずは提言をした増田さんです。
「地方の「消滅」を防ぐためには東京一極集中を是正する必要がある」
「東京圏ではこれから75歳以上の後期高齢者が大幅に増える。介護や医療の状況をみると、今は東京圏のなかで基本的に対応できているが、今後も大丈夫なわけではない」
「最後に、地方への元気な高齢者の移住だ。「地方に負担を押しつけるのか」という批判が出ているが、介護が必要な高齢者を地方へ、といっているわけではないし、そんな話はそもそも無理だ」
一方の片山さん。
「東京圏の高齢者の深刻な現状を、数字を示して克明に分析したのは評価できるが、その処方箋がしょぼい」
「予算のあり方を大幅に変えて高齢化対応しろという提言だったらすごく意味があったと思うが、どうにもならないとギブアップ宣言したのがこの「現代版うば捨て山構想」だ」
「人々を現在の生活の場から引きはがすなんて生易しくできるものじゃない」
「高齢者の地方移住が進まないと、介護人材を含めて東京一極集中がさらに強まるとの指摘は、傲慢な東京目線だ」
「地域の介護は地域でするのが自治でしょ。それを「もうできません」といって、住民に出て行けというのは「棄民」だ。そんな発想の先進国はない」
なかなかに読み応えのある記事だったのですが、私や片山さんがおっしゃっていることに、うんうんと頷いていました。特に、「人々を現在の生活の場から引きはがすなんて生易しくできるものじゃない」という部分に。
記事の中では、北海道伊達市の菊谷秀吉さんの見解も紹介されています。「みんなが積極的に行動するアクティブシニアではない」という菊谷市長の言葉に重みを感じました。
みんながアクティブにとか、みんなが輝いてとか、最近、「みんな」こうしなければならないという発想で語られる政策が多すぎるように思います。マクロで見れば「みんな」なのかもしれませんが、その地域に根付いた1人ひとりに暮らしは、そう簡単に語れるものではありません。「みんな」という発想が上から語られるのは、本当に大きなお世話だと、私は思います。