2015.05.17

聞き飽きてくると・・

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 国の借金が1000兆円。

 そう初めて報じられたのが2年前。

「国の借金は、国債や借入金、さらに円売り介入を行う際の資金調達手段である政府短期証券の残高の合計額。13年6月末に初めて1000兆円を突破した。」(時事ドットコム)

 1週間ほど前でしょうか。やはり国の借金が1053兆円と報じられました。財務省が、2014年度末の数字を発表したのです。

 驚いたのは、その数字の大きさではありません。そうではなく、その記事を自分が「ふーん」と読み飛ばしていることに気がついて、はっ、としました。読み飛ばす、というのは「飛ばして読んだ」のではなく、「読むのを飛ばした」ということ。つまり、読んでもいない。タイトルだけ見て、「あ、また出てる」くらいの感覚で、目はもうその記事から離れていました。

 狼少年の話ではありませんが、あまりにも1000兆円と言われ続けて感覚が麻痺してきたのでしょうか。それを何とかしなければならないという切羽詰った動きも、まったくと言っていいほど感じられません。

 将来世代に、そんなに負担を付け回していいはずがありません。さりとて、じゃあ自分に何ができているかと問われれば、答えに窮してしまう。子どもや孫たちのためにと頭では思いつつ、何も行動できていないことへのもどかしさも相まって、指にとげが刺さった時のような居心地の悪さを感じます。

 最近、「子どもたちに平和な日本を引き継ぐため、自信を持って前に進もうではないか」と高らかに語りかけた人がいました。私はこの言葉に、強い違和感を持ちました。あー、気持ち悪い、と思った。あまりにも歯切れが良すぎる。本当に「子どもたちのため」を考えている人が、こんなに「すっきりした」言葉を語れるものなのだろうか。そこに、強い引っ掛かりを覚えたのです。

 1000兆円を超える借金は、1人あたりにすれば800万円を超えるのだとか。どうすれば、800万円を返済できるのか、アイデアはありません。ただ、あまり大きく考えず、まずは今日の100円を減らすことから考えるくらいなら、できるかもしれません。もはや、誰に頼れるわけでもない。自分ができる範囲で、できることをする。その小さな動きを積み上げていくしかないような気がしています。



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