2016.06.12
サミットが終わって
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
伊勢志摩サミットが終わりました。
「各国の事情に合わせてそれぞれやりましょう」という結論しかなかったわけですから、「電話会議もいいけれど、たまにはやっぱり顔合わせて話をしないとね」以上の意味があったのかどうか、私にはよく分かりません。
10日の日本経済新聞に「サミットの経験、地方創生に生かせ」という三重県鈴木英敬知事の寄稿が掲載されていました。
「伊勢志摩サミットは「G7伊勢志摩首脳宣言」の取りまとめとともに、無事故かつ成功裏に閉幕した。三重県民をはじめ関わったすべての方々のおかげである。心から感謝申し上げたい」
こんな調子で始まる文章ですが、偉く「声たかだかに」書かれた文章の割に、書かれていないこともたくさんあるように感じました。
たとえば、5月25日の「リテラ」の記事。
「英紙「エコノミスト」(電子版)は5月21日付で、神政連の政治的影響力の強大さを指摘しつつ、サミットでの伊勢神宮参拝が〈戦前日本の政治家が侵略帝国主義を推し進めるために偽装した神道に対し、G7が国際的信用のお墨付きを与えることになる〉と危惧する」。
鈴木知事は、文章の最後をこう結んでいます。
「今回、世界最高峰の国際会議を地方で完遂した。・・(中略)・・地方創生を唱えるなら日本での国際会議は地方開催を原則とするくらいの方向性が必要ではないか。伊勢志摩サミットを機にオールジャパンで地方創生を加速させていかなければならない」。
これまた威勢がいいのですが、再度、先のリテラ記事に触れておきましょう。ちょっと長いですが、伊勢志摩に決まった経緯が書かれています。
「もともと、サミットの開催地には、長野県軽井沢町をはじめ、宮城県仙台市や兵庫県神戸市、静岡県浜松市など7つの自治体が、2014年夏の段階で立候補に名乗りを上げていたが、伊勢志摩の名前はなかった。三重県は関係閣僚会議の開催地こそ誘致に動いていたものの、サミット自体については立候補すらしていなかったのだ。その年末には外務省の現地視察も終え、当初は、長野五輪で県警に警備実績がある軽井沢が有力とみられていた。
ところが、15年にはいると、突如として三重県の鈴木英敬知事が立候補を表明する。これは立候補した自治体のなかでもっとも遅い“後出し”だったが、形勢は一気にひっくり返り、伊勢志摩開催に決まってしまったのだ。
サミット会場予定地の賢島が警備しやすいから選ばれたとの情報も流れたが、これは後付けだ。実際は、安倍首相の「各国首脳を伊勢神宮に参拝させたい」という“ツルの一声”で伊勢志摩に決まったのである。
ポイントは昨年1月5日、安倍首相が閣僚らとともに伊勢神宮を参拝したときのこと。朝日新聞15年6月6日付によれば、その際、安倍首相が「ここはお客さんを招待するのにとてもいい場所だ」と口にした。これを聞いた首相周辺が、同行していた鈴木英敬三重県知事に「サミット候補地として立候補すればいい。いま直接、首相に伝えるべきだ」と進言したという。そして、鈴木知事が「今から手を挙げても間に合いますか」と訊くと、安倍首相は「いいよ」と即答したというのだ。」
記事の正否は私に知る由もありません。ただ、物事は一面だけから見つめていると、判断を間違うこともあるでしょう。自画自賛文章には気をつけなければならない、と私は思います。