2016.04.17
街を創る
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
劇作家、平田オリザさんの『下り坂をそろそろと下る』(講談社現代新書)を読んでいます。
少子化だからスキー人口が減ったのではなく、スキー人口が減ったから人口減少が起こった。
そう語る平田さん(その内容はメールマガジンで紹介しました)は、街創りについてこんな風におっしゃっています。
「街中に、映画館もジャズ喫茶もライブハウスも古本屋もなくし、のっぺりとしたつまらない街、男女の出会いのない街を創っておいて、行政が慣れない婚活パーティーなどをやっている。本末転倒ではないか」(P.9)。
映画監督、想田和弘さんの『観察する男』(ミシマ社)を読んでいます。
最新作『牡蠣工場(こうば)』が昨年来公開されました。私は3月、大阪で観ましたが、早くももう1回観たくて仕方がありません。
その『牡蠣工場』は伝統あるロカルノ映画祭(スイス)に招待され、想田監督は初めて参加されました。人口1万5000人というロカルノの街が、毎年16万人の観客と1000人のジャーナリスト、3000人の映画関係者を集める。そのロカルノの街の底力を見せつけられたとそうです。
「その「力」の源泉は、なんといっても古いものを温存しつつ、うまく利用した街づくりであろう。路地の多い昔ながらの街並みは、自動車の通行のために区画整理されたりせずにそのまま残されている。そのため街では車が大きな顔をせず、歩行者が闊歩し、小さなお店やレストランが元気よく営業している。大資本のチェーン店は目立たない。路線バスは夜の12時まで動いている。人口規模を考えれば驚異的である」(P.248-249)。
で、実は想田監督の映画第3弾、第4弾が『演劇1』『演劇2』という作品で、平田さんとその劇団を観察した作品です。合わせて5時間を超える大作ですが、見ていて飽きることはありませんでした。
たまたま同時期に読んでいる本で、お2人が考えている街創りの話に触れ、どこか通底するものがあるのではないかと感じています。