2016.11.20

ふるさと納税と引当金

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 一昨日、ある方からふるさと納税について質問を受けました。ふるさと納税をするにはどうすればいいですか、と。

 ふるさと納税に対する私自身の意見はさておき、ごくごく大きな流れと、詳細を記したホームページをお答えしました。

 すると昨日、たまたま日本経済新聞に掲載されたのが、「ふるさと納税、ポイント制が便利」という記事です。

「ふるさと納税で「ポイント制」を採用する自治体が増えている。寄付をすると、その額に応じて一定数のポイントが得られ、そのポイントを返戻金と交換する。通常の方式だと寄付する際に返礼品を決める必要があるが、ポイント制は自分の好きなタイミングで選ぶことができる」。

 記事を読むと、ポイントの有効期限は自治体によって様々。期限なしの自治体もあれば、最長2年といった期限を設定している自治体も。

 ふるさと納税の公会計における会計処理を想像してみました。受ける寄付については、純資産変動計算書の純資産の増加に計上でしょう。一方、返戻品に関する費用は行政コスト計算書に計上されるはず。

 通常の方式だと、寄付を受けた時点で返礼品も確定しますので、収益と費用が同時に確定します。

 ポイント方式だと、寄付を受けた時点で返礼品が確定しません。しかも、有効期限があれば、ポイントは使われないまま消滅することもあり得るでしょう。この場合に必要な処理が、ポイント引当金です。

 ポイントと聞いて思い浮かべるのは家電量販店。たとえばヤマダ電機の貸借対照表には「ポイント引当金」が計上されていて、会計方針には次の記載があります。

「当社は、顧客に付与したポイント使用に備えるため、将来行使されると見込まれる額を計上しております」

 大雑把に言えば、「ポイント付与額×使用率」がポイント引当金の残高ということ。ふるさと納税にポイント制を採用している自治体におかれましては、ポイント引当金の検討をお忘れなく。





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