2016.10.16
数字が見えてくると
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
公会計を導入して、発生主義・複式簿記を取り入れることにより、これまで見えていなかったコスト・ストック情報が見えてくる。
典型的に語られることですし、その通りだとも思います。1点、指摘するとすれば、現金主義・複式簿記という組み合わせも可能なのですから、重要なことは「発生主義の発想」だということ。言い換えれば、今の現金の動きだけでなく、その現金の動きが将来にわたってどう影響するのかを考慮する必要がある、と言えるでしょう。
で、仮にコスト情報が見えてきたとします。
将来、設備の更新にこれだけの費用がかかる。
市町村合併で、これだけ重複している施設がある。
利用者も少なく、設備維持にこれだけの費用がかかっている。
さて、ではどうしましょうか。話の流れとしては、設備の統廃合ということになるのでしょう。ただ、そうなると、先日受けた研修講師の方もおっしゃっていましたが、「総論賛成・各論反対」が登場します。
大きな流れとして、自治体運営を効率化していくことには賛成。
でも、自分に関わる設備の話になると、当然、存続してほしい。
小学校の統合でも、統合されるほうに通っている人たちは反対でしょう。
公民館だって、少ないとはいえ使っている人たちは残してほしいと思う。
当たり前の話です。
ただ、実際にどれだけの維持費用がかかっていて、自治体の財政状態が今どんな状況なのか。それが見えてくると、住民の方々の中にも理解を示してくれる人が出てくる。その講師の方はそうおっしゃいました。私もかつて話を聞いた自治体の方と、そんな話をしたことがあります。
最終的にどういう意思決定になるかは、政治的な判断という側面もあるでしょう。まずは粛々と、現状を分析する。
そのために「発生主義の発想」が一役買ってくれることは間違いないと思います。