2016.10.02
空気に抗う
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
東京の豊洲市場への移転が問題となっています。
地下に盛り土をするはずがしておらず、空間になっていた。
誰が、どのように意思決定したかは、見事なほどに分からない。
30日に行なわれた小池百合子知事の会見を受け、日本経済新聞は次のように報じました。
「東京都の豊洲市場(江東区)で主要施設の地下に土壌汚染対策のための盛り土がなかった問題は「誰がいつ決めたのか」という明確な経緯の解明には至らなかった。小池百合子知事は30日の記者会見で「それぞれの段階で流れの中、空気の中で進んでいった」と説明。総事業費が5884億円に及んだ巨大事業を巡る都の統治の欠如を批判した」。
事の詳細をここで論じるつもりはありません。ただ、この「空気」という言葉が引っかかりました。
そう言えば、山本七平さんの『空気の研究』を2年ほど前に読んだのですが、途中で止まっているような気がします。ただそこに書いてあったことは、「日本人は空気に流されやすく、全体の流れに逆らわないで物事が動くため、特定の誰かが責任を取る体制になかなかならない」ということだったと思います(違うかも)。
典型的で、もっとも悲惨だったのが、太平洋戦争でしょう。終戦後、指導部の誰1人として、「私の責任です」と言う人がいなかった、という話を何かの文献で読んだ記憶があります。
私個人としては、反対だった。
でも、とてもそれを言い出せる雰囲気ではなかった。
みんながそう思った結果、起きてはいけないことが起きてしまう。
豊洲の問題も、これだから公務員は、という定型的な語りですむ話ではありません。空気に抗うのは気力も体力も必要なのですが、「ま、いっか」と流されていないか、流されてはいけないことに流されていないか、常に意識しておく必要がありそうです。