2016.07.17

発想と技術の組み合わせ

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 単式簿記か、複式簿記か。
 現金主義か、発生主義か。

 単式簿記で、現金主義なのが、官庁会計。
 複式簿記で、発生主義なのが、企業会計。

 こう理解されていると思います。で、今の公会計の議論でありがちなのは、自治体にも発生主義の概念を導入することでコスト情報を把握し、複式簿記を採用することでストック情報を把握する、というもの。

 でも、少し違うと、私は思っています。

 現金主義か発生主義かというのは、会計の発想です。現金の動きに注目するのか、経済的事象の発生に注目するのか。

 一方、単式簿記か複式簿記かというのは、会計の技術です。基本的な発想に基づいて認識された取引をどう記録するか。それが簿記の技術である単式簿記だったり、複式簿記だったり。

 ということは、コスト情報もストック情報も、その把握のために必要なことは発生主義という発想です。現金の動きだけでなく、経済的事象の発生に着目するのでコストもストックも認識できるのです。

 ごく簡単に言えば、掛売する場合、売上というフローを認識することも、売掛金というストックを認識することも、いずれも「(現金の動きではなく)商品を販売した」という経済的事象に基づく発生主義の概念に基づくもの。逆に言えば、コストやストックの把握のために不可欠なのが、発生主義という発想です。

 では、複式簿記という技術は不可欠なのか?
 単式簿記で、コストやストックの把握は不可能なのか?

 この点について、次回、考えてみたいと思います。




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