2023.10.08

日本人とイタリア人

こんにちは、公(会計)ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 最近の若い人は……。口にしないようにしている言葉です。いや、口にはしますが、後に続く言葉は「すごい」でしょう。感性は豊かで、説明する言葉を持ち、社会への意識も持っている。

 環境、SDGs、LGBTQ+、グローバル、ウクライナ侵攻、新型コロナウイルス……。30~40年前に比べると町はきれいになり、匂いは消え、正論や正義が過度になってきた今の時代、本音はともかく、子どもたちは社会を意識せざるを得ないのでしょう。朝刊を読んでいると、子どもたちがチラチラ見ては、言葉を拾っていきます。

「最近の若い人」という括り自体が、かなり雑。いつの時代にも言われてきた言葉で、ということは、全員が通過してきたはず。批判的に語ってしまうと、若い人を批判するのではなく、自分が若い人を受け入れられないと宣言しているようなもの。若い人に文句を言うくらいなら、自分が頑固になっていないか、検証したほうがよさそうです。

 括りが大きいという点でいえば、『最後はなぜかうまくいくイタリア人』(宮嶋勲さん、日経ビジネス文庫)という本を読み始めました。タイトルを新聞で見つけ、面白そうと思っていた。しばらく後に本屋さんで、偶然目に留まった。本は目に留まったときが買いどきですから、そのまま購入して読み進めています。

 著者が最初から強調しているのは、イタリア人の習慣にイライラしても仕方がなく、知っていればいいのだ、ということ。イタリア人の法則を見つければ、イタリア人の行動予測をして楽しんでしまう。最初に語られているのが、時間に対するルーズさです。

「たとえば午前10時からの記者会見を例にとると、たしかに10時きっかりに始まることはないが、少なくとも10時半には始まることが多い。……10時開始と言って10時半に始まっているのだから、たしかにパンクチュアルではないのだが、重要なことは、イタリアの習慣を知っている人間には十分に読める遅れであるということだ。要は「記者会見10時開始」と言われたら、「10時ごろからだらだらと人が集まって、10時半ごろ開始と読み直す」と知っていればいいのである」(P.28-30)。

 もちろん、イタリア人をイラつかせる日本人の習慣もあるのだと。著者はイタリア人に日本人の法則を教えておく機会も多いそうです。「このディナーは19時開始なのに、なぜか18時集合となっています。18時からおそらく5分ほど打ち合わせがあるだけで、その後55分は何もすることがないと思われます。イタリアはちょうど事務所が開く時間ですので、業務連絡でもしておいてください」(P.6)。確かに、大いにありそうな時間設定です。事前に知っていれば、「「失礼じゃないか!」とはならずに、「日本ってそうなんだ」と笑い話になる。笑いあるところに衝突はない」(同)。

 イタリアといっても縦長で、北と南ではずいぶん気質が違うもよう。括りが大きいことは理解しつつ、「日本の常識、世界の非常識」(逆も然り)の世界を楽しみたいと思います。そう、「若い人」についても、法則を発見すればいい。嘆くくらいなら、観察して法則を発見したほうが、大らかでいられることでしょう。


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