2023.07.02

夏の旅行

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 コロナ禍も一段落した、のかどうか。気持ちの中ではその通りで、マスクをしなくなって久しいのですが、第9波への懸念といった報道もあり、しばらくは落ち着かない日々が続きそうです。

 7月になり、夏の旅行を考える向きも多いのでしょうか。ただ、今年に関しては、今一つ旅行に前向きな気持ちになれません。特に家族旅行は、「何かをしにいく」行程になりがち。観光して、美味しいものを食べて、ご当地のお土産を買って……。考えただけで、少し疲れてしまうのです。

 今季から、プロ野球日本ハムの新本拠地、「エスコンフィールド北海道」が北海道北広島市に開場しました。もう幾度となく語られてきたと思いますが、北海道なのに、なぜ広島なのか。「当地は明治17年(1884年)に広島県から移住した25家族が苦労の末、開墾した。……北海道の市町村名の多くがアイヌ語に由来する。が、ここは安芸国の人々が試行錯誤で稲作を成功させた土地だ。ゆえに〈北の広島〉なのだ」(2日、日経) 。

 記事は、丁寧な取材に基づいています。「北広島市北部の山林に、当地で最古とみられる小さなお地蔵さまがある。〈明治十八年十二月十一日 みな女〉と刻まれていた。みな、という名の幼女の死を悼み、両親が建立したのだろうか。女児の死の前年は凶作で、人々は賃仕事で寒さと飢えをかろうじてしのいだ」(同)。

 行幸橋、というバス停の名称の由来についても、遠い昔は「見捨て橋」だったという歴史から掘り起こして、口承伝承を紹介しています。

 同胞意識と言いますが、広島と北広島は、多くの歴史を、つまりは多くの苦難を分かち合おうとしているのでしょう。「球場近くの公園の石柱に、炎がともされていた。広島市の平和記念公園の〈平和の灯〉を分火した。同胞の痛みを分かち合おうと、人々は原爆忌に鎮魂の祈りをささげる」(同)。

 6月上旬、エスコンフィールド北海道では、日本ハムvs広島のセ・パ交流戦が開催されたそうです。もちろん、広島からも多くのファンが駆けつけたのでしょう。もちろん、それ自体は素晴らしいこと。ですが、「遠路、広島県から訪れたカープファンの多くが、歴史遺産を知らずに素通りする」(同)。

 仮に旅行に行くのなら、野球を見る側ではなく、歴史遺産を回りたい。いや、それも「何かをしにいく」ことなのですが、その土地で、人々がどんな営みを紡いできたのか、その時間を感じてみたい。そして、ふと思います。そうだ、しばらく会えていない人たちに会いに行こうと。昔話とバカ話に花を咲かせる。そんな旅なら出かけてみたいと感じ始めています。


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