2023.05.27
マイナンバーカードあれこれ
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
いっとき、電車の駅でも、近所のスーパーでも、マイナンバーカード登録の特設ブースをよく見かけました。最大2万円のポイントがつくのが最大の謳い文句だったようで、あれ、カードでの利便性はどこにいったのだろう、と思ったものです。
結局、そんなに便利じゃない。コンビニで住民票が交付されるといっても、住民票が必要な機会がいつだったのか記憶にありません。マイナ保険証だって、これまで月に1度保険証を示せばよかったのが、マイナ保険証は毎回提示する必要がある。そもそも「デジタル」を謳いながら、なぜカード+写真認証+更新のために役所に行く、という超アナログな対応なのか。大きなビジョンもなく、利便性も遡及できないからこその、ポイント付与なのだと想像します。
「「コンビニで住民票を発行したら他の人のが出てきたのですが……」トラブルが発覚したのは2023年3月27日昼ごろ、磯子区役所(横浜市)に入った誤発行に関する住民からの1本の電話だった。青葉区役所(同)や横浜市のマイナンバー専用コールセンターなどにも同様の連絡が相次いだ」(4月21日、日経XTECH)。
「マイナンバーカードを健康保険証としても使う「マイナ保険証」で別人の情報が誤って登録されるトラブルが相次いだ問題を受け、加藤勝信厚生労働相は23日、「大変申し訳ない」と謝罪した」(5月23日、朝日新聞デジタル)。
「総務省はカードの取得などで最大2万円分のポイントがつく「マイナポイント第2弾」の事業で誤って他人にポイントが付与された事案が、90の自治体で、合わせて113件確認されたと発表しました」(5月25日、NHK)。
全部別の話なのか、と驚くほどに、いろんな不具合が報じられます。もちろん、きちんと処理できている件数が圧倒的なはず。ただ、ことマイナンバーカードに関して言えば、量の問題ではなく、質の問題でしょう。実際に漏れた情報が悪用される可能性は低いのかもしれません。それでも、これまでいろんな分野で書類の破棄や改竄を行なってきた政府です。不具合にどこまで真剣に取り組むつもりがあるのか、その姿勢への信頼は地に落ちていると言っていいでしょう。
もちろん、何の必要性も感じないため、マイナンバーカードは取得していません。法律違反になるならともかく、今の状態が続くのなら、必要性を感じるようにはならないでしょう。「なるほど、何でも反対なわけね」。そんな声が聞こえてきそうな昨今ですが、そういう声には、「なるほど、何でもポイントで動くのね」と返しておきます。
そう返せるうちが踏ん張りどころ。反対や批判の気力を失ったときに何が起きるのか、歴史は雄弁に物語っているはずです。