2023.04.30

捨てようと思ったら

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 個人の事務所を大阪から京都に移した際、心底驚いたのは、「どれだけ紙を溜めこんでいるか」でした。

 溶解処理したダンボールは47箱。
 中古書店に持ちこんだ書籍8箱。
 新しい事務所に運んだ書類20箱。

 合計75箱の「紙」を所蔵していたのです。紙の4分の3がなくなったということは、それを納めていた本棚やらキャビネットやらも不要になるということ。継続して使っている収納用品は3段の引き出しのみとなりました。

 速度を優先し、使わない収納用品については事務所用品引き取りサービスを利用。これは少し後悔しています。きっと、丁寧に売れば、殆ど再利用可能だったはず。二度と同じ気持ちを抱くことがないよう、今のところ収納用品購入を躊躇しています。

 その旧事務所から救出した1つが、BOSEのCDプレイヤーでした。いまどきCDを聞くのかと言われそうですが、聞くのです。むしろ、スマホで音楽を聞かない。スマホで「意味のある行動」を極力したくない、隙間時間を「意味のある時間」で占領されたくない、という思いが頭のどこかにあるようです。

 習慣なのか、惰性なのか。批評家は言います。「惰性に陥らずに慣れる。ここに伴うのが「驚き」である。驚嘆するほどのことはなくとも小さく驚く。こうした出来事が日常的に自分のなかで起こる場を保ち続けること、それが真の意味で「慣れる」ということなのではないだろうか」(若松英輔さん、22日、日経)。

 BOSEのCDプレイヤーを自宅に置く。その場所を確保するためには、音が不安定になったミニオーディオセットを廃棄するしかないか……。20年以上前にお祝いでいただいたCD、MD、カセットテープのセットです。ただ、MDは世の中に存在しなくなりました。カセットテープは動かない。CDは接触状態によって、アルバム2曲目くらいから音が消える。

 恩義にも時効がある、と割り切って、埃を払ってきれいにしつつ場所を確保しがてら、久しぶりに電源をオン。ちょっとCDをかけてみようとボタンを押すと、何事もなかったかのように音が聞こえてきます。しかも、ミニオーディオですから、スピーカーから重厚な音が出る。平原綾香さんの歌声を聞きながら、今、この文章を書いています。アルバム最後に入っている「Jupiter」など、迫力満点。結局、ミニオーディオとCDプレイヤーを並べて置いておくことにしました。

 アルバム全曲、普通に聞けた。驚嘆はしませんが、小さな驚きです。まるで、オーディオが「まだ使えます」と主張しているように。簡単に捨ててはいけない。だましだまし使っていると、小さな驚きとともになじんでくる(慣れる)のかもしれません。


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