2023.03.18

理想の家

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 早朝、BGM代わりにつけているNHK-BS。動物や山の映像ならいいのですが、時にBGMにならず、見入ってしまう番組があります。その筆頭が世界の居酒屋を紹介する15分ほどの映像でしょう。

 先ほど放送されていたのは、フランス・リヨンの居酒屋。2歳で母を失い、祖母の味で育ったという初老の女性が店主です。豚肉とソーセージを豪快に煮込んだり、バターとクリームたっぷりに味つけをしたり。店の看板には、過度なダイエットで健康を守ろうとするのはやっかいな病気である、と書いてありました。バターやクリームを使わない料理を作るくらいなら薬局をやったほうがまし、と笑い飛ばす豪快なお母さんです。

 ある日のメニューはカエル。面白いのは、フランス人のユーモアでしょうか。カエルの日にしか来ない、という郵便配達員。きのうも来てたよ、と突っ込まれると、「いつカエルが登場するかを知るために来ていたんだ」と。白ワインを飲みながら「魚には白ワインでしょ」と語った女性。カエルは魚じゃないけどと指摘され、「水の中で暮らしているんだから同じよ」と語りました。要するに、飲めれば何でもいいのです。

 店主のお母さんも、お客さんも、楽しそう。もちろん、居酒屋の紹介ですから、酔っ払って楽しい映像になるのは当たり前でしょう。それでも、「仕事をしているという意識はないのよ」という店主の姿勢が、いい店を演出しているのだと思います。家族にしてあげているのと同じ、と。

 ノートパソコンを持って仕事をする。会計士試験に合格し、監査法人に入って以降、常にノートパソコンを持ち歩いています。独立後は特に、パソコンさえあれば場所を選ばないようになりました。そうなると土日もなく、朝も夜も関係ない。寝ている時間以外は、いつでも、すぐに仕事モードに入れます。

 これって、仕事をしているという意識はありません。何か問いかけがあって、それに応答する。そうすると反応が返ってきて、良かったと思うこともあれば、失敗したと感じて学ぶこともある。去っていく人もいれば、時に戻ってきてくれる人もいる。一応の事務所はあり、料理は出せませんが、コーヒーくらいなら淹れることが可能です。仕事で訪問しているはずなのに、ほとんど雑談をしているだけ。そんなこともしばしばです。

 書いていて思い出しましたが、リヨンの居酒屋店主のお母さんは語っていました。「触れ合ったり、喧嘩したりしながら、機を織るように客との関係を築いていくのよ」。そして、仕事をしている感覚はないと語った後に、「ここが私の理想の家なの」とも。

 番組を楽しんだうえに、1つの文章を書けてしまった。「書かなければならない」ではなく「書けてしまった」という状態にしてくれる最高のBGMでした。


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