2023.02.11
本人特定の必須情報
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
従業員を雇用する事業者は、毎年1月31日を期限として、従業員が住む地方自治体に給与支払報告書を提出します。今回で言えば、2023年1月31日までに、2022年1年間の給与支払状況を自治体に報告する必要がありました。この情報をもとに、各自治体が従業員に住民税を賦課し、その金額が事業者に通知され、事業者が給与支払の際に住民税を特別徴収する、という流れです。
従業員が増えると、必然的に、提出先の自治体も増える。今は電子申告となりましたので、自治体の数が増えても提出の労力は増えず、確認の労力が増えるのみ。ただ、電子申告するにしても従業員の名前の「フリガナ」と「生年月日」は必須情報で、その入力がないと電子送信できません。これが自治体側の仕組み(eLTAX)なのか、税務ソフトの仕様なのかは不明。生年月日が必須というのは本人特定のためと理解できますが、フリガナも必須とはどういう背景なのでしょう。自治体はフリガナ情報を持っているでしょうから、同様に本人特定のためなのかもしれません。
今の戸籍にフリガナ(読み仮名)はありません。ただ、改正の方向で、法制審議会は先日要綱案をまとめました。「戸籍を持っている人は2024年度になる見通しの改正法施行から1年以内に本籍地や住民票がある地方自治体の役所で読み仮名を申請する。……1年以内に申し出なかった場合は、自治体が職権で住民票に記した読みなどを基に戸籍に読み仮名をつける」(3日、日経)。
住民票には読み仮名の記載があるのだと。それはいいとして、新生児の「キラキラネーム」など、なんでも認められるわけではなさそうです。「「高」を「ヒクシ」とするような漢字の意味と逆にする読み方や、「太郎」を「マイケル」とするなど漢字から連想できない読み方は認めにくいと説明する」(同)。
一方、「漢字と関連する外国語や意味から連想される読み方は認める公算が大きい。「大空」を「スカイ」、「愛」を「ヒカリ」と読む例などが当てはまる見通しだ」(同)。であれば、よほどのことがない限り、キラキラネームも認められるのでしょう。限界事例については、自治体や、その時々の関係者によって、判断が異なってくるかもしれません。
吟雲、浬璃、音憧、空良。先日、ある原稿を書いていて出会ったキラキラネームの連続です。いろんな思い入れを込めているのでしょうが、とにかく読めません。ふと思い出しましたが、子どもの頃、クラス替えがあって、まず担任の先生が1人ずつ名前を読み上げていく。思えば、当時の書類に読み仮名はふっていなかったのでしょうか。必ず読み間違える生徒が何人もいて、その場で先生が書類に読み仮名をふっていました。まさか今も同じとは思いませんが、個人の際たる象徴である名前ですから、読み仮名は広く認められるのが望ましいのだと思います。