2023.01.15

世界はたいへん

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 NHK-BSをBGMのように見ていると、早朝の時間帯に流れる山や動物の映像はいいのですが、朝になるとワールドニュースが目や耳に入ってきます。そうなると、BGMにならない。ついつい、何が起きているのだろう、と見入ってしまいます。

 英BBC放送は、王室を離れたヘンリー王子が出版した自伝の話題でもちきり。発売初日に40万部が売れたようで、ヘンリー王子のインタビューも繰り返し放送されています。家族でもよくこの話題が出て、どちらかと言えばヘンリー王子夫妻の言動に批判的。私は上の空で、あまり興味なし。

 ただ、先日、もしかしたらと思った記事がありました。「チャールズ英国王の次男ヘンリー王子が10日に発売した自伝「スペア」の中で、陸軍時代にアフガニスタンでイスラム主義組織タリバンの戦闘員25人を殺害したと告白したことに、波紋が広がっている」(11日、東京新聞)。

 25人と本人が明記している。だから事実かどうかは分かりませんが、もし事実であれば。作家の高橋源一郎さんは、『ぼくらの戦争なんだぜ』(朝日新書)の中で、人を殺した人に接した人の言葉を紹介しています。

 1人は、大昔、高橋さんも逮捕され留置場にいたときの同僚(?)。妻を殺した男と同じ房に移され、戻ってきた後、高橋さんが「どうでした」と聞いたそうです。

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 どうにもこうにも……すごく遠くにいる感じがするんだよね……うまくいえないんだけど、あいつとおれの間には、薄い、見えない壁みたいなものがあって、空気も通ってないんだよ。いや、ちがうな……ものすごく怖かったんだな。……あいつは、なんということもない、穏やかで、力もなさそうな男だった。なにも変わったことなんかないんだけど、あいつの隣にいると、ものすごく怖いんだよ。
(P.264)
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 もう1人は、殺人者に接した弁護士さん。

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 なんというか、近くにいるけど、遠くにいる、そういう感じがするんだよ。ふつうにしゃべるし、まあ、何十年も刑務所にいたから、おかしなことをいったりはするんだけど、そういうことは関係なく、とりあえず、ふつうに見える。どんな人間よりも。でも、話していると、そうじゃないことがわかってくる。……どういったらいいのかわからない……なにかほんのちょっとちがう、というか……ぜんぜんちがう、というか……ひんやりしたなにかが、おれとあいつの間にある、というか……あいつのなかに、ひんやりしたなにかがある、というか……でも、そういうのでもぜんぜんないのかもしれない。
(P.265-266)
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 インタビューを見る限り、ヘンリー王子の受け答えは普通です。ただ、その告白を受けた後に上の空で聞いていたいろんな話を思い出すと(思い出せる範囲で)、いろいろと辻褄が合うようにも思えてくる。自伝が翻訳されれば、どんな言葉が綴られていて、どう感じるのか、読んでみたいと思います。

 ワールドニュースですから、放送されるのは英BBCだけではありません。ブラジルもドイツも中国もたいへん。でも、コロンビアの平和のお祭りは楽しそうだった。みんなが体にいろんなペインティングをして、最後にはカラフルな山車も出て、多様性を楽しむのだとか。ワールドニュースは、BGMの“Back”ではなく、Frontになってしまう時間です。


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