2022.12.04

あらためて憲法を読む

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 憲法を変える、変えない。そんな話題をここ数年、聞かされ続けています。変えるか、変えないかの、二者択一なのか。その疑問は持ち続けたいと思う一方、そもそも現行の憲法をまともに読んだことはあるのかという思いが、ずっと気にかかっていました。

 中学校や高校の教科書で勉強はしたはず。では、前文に何が書いてあって、各条項に何が書いてあるのか。書いてある言葉の意味(意図)するところは何か。国民の義務は3つ(教育・勤労・納税)あり、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義が憲法の3原則だということは知っています。でも、単に知識として「知っている」だけになっていないか。それ以上のことを「知ろうとしている」か。

 ということで、『日本国憲法 9条に込められた魂』(鉄筆編、鉄筆文庫)を読みました。前半は、憲法の条文そのものです。昭和天皇による公布の言葉から始まり、前文、各条項と続く。字も大きく、読みやすく、条文も103条しかありません。ひと言ひと言を味わうように読んでみて、戦後復興に向けて、こういう国をつくっていくのだという気概をあらためて感じました。気負いとも言えますが、崇高な理念が謳われているように感じます。

「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理念を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」(前文より)。

 それに対して、自民党が掲げる改正草案の前文はどうなっているか。

「我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する」。

 重要な地位を既に占めている……。まず浮かぶ言葉は夜郎自大ですが、いや、しかし、こちらも前文だけでなく全文を読む必要があるのでしょう。政権与党が撤回せずに掲げ続けている憲法改正草案に何が書かれているのか。まずは知ったうえで、そういう社会になることを「善し」と考えるか、「やめて」と考えるか。

 それにしても苦痛です。後者であることは間違いない。前文を読んだだけでも、息苦しくてクラクラしてきます。「和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する」(自民党憲法改正草案の前文より)。聖徳太子の「十七条の憲法」かと思ってしまいます。いや、でも、部分的に批判しても仕方ない。全文はこちらから読めます。気が重いですが、知ろうとしないことは罪ですから。

https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/130250_1.pdf


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