2022.11.19

農家民宿に泊まって

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 3か月に1回の頻度で、2つの読書会に参加しています。1つは、年長の方々と4人で和気あいあいと語り合う場。課題図書を持ち回りで決めて、全員がその本を読んでくる。そのうえで話をすると、自分が読み飛ばしていたところを発見できたり、理解できなかった箇所の理解が深まったり。3か月に1度、同じ本を読んで語り合うのは楽しい時間です。

 もう1つは、同年代の方々数名と、課題図書を決めずに自らの最近の読書体験を語り合う。それはそれで、他の人が読んでいる本と自分が読んできた本が響きあうこともあり、人と話すことで自分を発見する場になっています。

 コロナ前は、どちらも対面での読書会でした。コロナ後は、どちらも、対面だったり、オンラインだったり。先日、コロナ禍の落ち着き(と私は思いますが)のもと、前者の読書会メンバーで山梨県のとある農家民宿に出かけました。1泊2日、「合宿」と自称しての読書会です。とはいえ、読書会はいつも通り2時間ほど。あとは、温泉に入ったり、お茶を飲んだり、美味しい料理をいただいたり、河口湖の紅葉に絶句したり、ただただおしゃべりしたり。寝食を共にすることで、違う側面も見えてきて、それはそれは楽しい時間を過ごすことができました。

 民宿があるのは、山梨県の限界集落と言っていい地域です。「一般社団法人全国過疎地域連盟」ホームページに掲げられた地図でも、しっかり過疎地域に入っていました。民宿を経営されているご夫婦は、その地域に移住してこられた方ですが、地域の多くの家が空き家となり、高齢化も著しいのだと。

「移住」がブームのようになっています。ただ、自分は移住するか、したいか、と考えれば、そう簡単にできることではありません。移住という概念とか理念で考えてはダメで、移住後の生活に想像力を働かせる必要があるでしょう。移住したら自分たちが「若手」になる。地域の役は頻繁に回ってきて、力仕事には駆り出されて、地域の人たちとは親戚以上の濃いつきあいになる。そういう生活を、本当に自身が受け入れられるのか。特に都市部の生活に慣れてしまうと、生活は激変。インボイス制度のように激変緩和措置もありません。

 もちろん、移住した方々の取組みは応援したいですし、今回の民宿での時間も素晴らしいものでした。晩御飯も、デザートも、経営者の方も含めてみんなでしゃべっていただけの時間も、贅沢このうえない時間です。たまに行くだけでいいのか、と自責の念を持つ必要はないと頭では考えながら、ふらっと行ってふらっと帰ってくるだけの行動を、つい考えてしまう。

 頭で動かず、体の動きに身を委ねる。頭で考えると、自分の行動を正当化する理屈をいくらでも考えてしまいます。もっと単純に言えば、動くときは好き嫌いを大事にしたい。とある移動を前に、そんなことを考えています。


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