2022.06.12
耐用年数を考える
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
自動車の耐用年数は6年。パソコンの耐用年数は4年。ただ、あくまで税務上の耐用年数であって、実際の使用可能期間は違います。今乗っている自動車は17年目に入りました。パソコンも、先日買ったと思っていたのに、もう6年以上使っています。車もパソコンも幸運なことに、大きな不具合はありません。
本も、時に、50年、100年と読み継がれてきた「古典」を読みます。時代を超えて読み継がれるには、それなりの理由があるはず。今日、知人と読書会があるのですが、その課題本である『フランケンシュタイン』も初版は1818年。新訳の助けはありますが、まったく古さを感じさせない内容に驚きました。
歌も同様。クリスマスソング、と言われて真っ先に思い浮かぶのは、「雨は夜更け過ぎに……」の『クリスマス・イブ』(山下達郎さん)でしょう(※個人の感想です)。「88年にJR東海のCMソングに起用され、翌年オリコンチャートで1位を記録し、30年以上にわたってチャートイン。クリスマスの風物詩となっている」(11日、ヤフーニュース)。
歌手の口からも「耐用年数」という言葉が飛び出しました。「制作方針は昔から、風化しない音楽、いつ作られたか分からないような音楽。耐用年数ばかり考えてきた」(同)。KinKi Kidsで知っている曲は『硝子の少年』しかありません。これも山下さんの作品なのだとか。「『絶対ミリオン超えの曲を』という難題を課せられて作ったんだけど、関係者の間では『暗い』『踊れない』って大ブーイングだった。そうすると、KinKiの2人も不安になるわけですよ。でもその時、僕が彼らに言った言葉は、『大丈夫。これは君たちが40になっても歌える曲だから』と。確信犯だった」(同)。
歌手もファンもいろいろで、ヒット曲を歌わない歌手もいれば、ヒット曲を嫌がるマニアのファンもいる。「でも、私は誰が何と言おうと、『クリスマス・イブ』はやめません。夏でもやります。だって、それを聴きに来てくれるお客さんがいるんだもの」(同)。長年、長渕剛さんのファンですが、時にライブで『乾杯』や『とんぼ』が登場すると、鳥肌が立ちます。
サブスクリプションでの配信は、おそらく死ぬまでやらないという山下さん。「売れりゃいいとか、客来ればいいとか、盛り上がってるかとか、それは集団騒擾。音楽は音楽でしかないのに。音楽として何を伝えるか。それがないと、誰のためにやるか、誰に何を伝えたいのかが、自分で分からなくなる。表現というのはあくまで人へと伝えるものなので」(同)。こうした思想や哲学や倫理が、時代を超えて響いてくるのだと思います。
どうせ書くなら、みんなが言いそうなことではなく、自分しか言いそうもないことを書く。それでも、耐用年数を超えて残っていくのは、ごく僅か。まして、時代を超えるなど、ごくごく僅かでしょう。自分の感性に嘘をつかず、頭だけで考えたことを書かないようにしたいとは思っています。