2022.06.05

週に1度は動物の番組を

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 NHK-BSで放送されている『ワイルドライフ』。月曜日夜の放送ですが、毎週録画をして、週末にアイロンをかけながら見ています。

 ここ数回は、グリーンプラネットと題して植物の特集。といっても、植物と動物は密接に関係しています。動物が受粉の手助けをしたり、フンを通して種を運んだり、あるいは虫を食べる植物がいたり。植物を動物のように撮影する技術は見事で、本当に意思があるかのように感じてしまう。いや、細胞レベルで意思があると語る生物学者がいました。部分的な引用では誤解を招きそうなので引用はしません。ただ、その生物学者との対談が掲載された本に紹介された食虫植物の話を引いておきましょう。

「縁に多くの棘を生やした二枚の葉を閉じることで、ハエトリソウは虫を捕獲する。葉の内側には三本か四本の短い感覚毛が生えていて、獲物が立て続けに二回、または二本以上の感覚毛に同時に触れると、瞬間的に葉を閉じる。でも最初に触れてから約二〇秒以上の間隔が空くと、もう一度触れても葉は閉じない」(『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』ちくま文庫、P.171、森達也さん)。

 なぜ一回目で葉を閉じないのか。雨水などの刺激に反応しないため、というのは推測で、メカニズムはまったく解明されていないのだとか。植物に限らず、動物も、あるいは人間も、すべてのメカニズムが解明できると考えること自体、傲慢というものなのでしょう。

 前置きが長くなりましたが、動物に関して気になったニュースがあったのでした。「神戸市内で飼育されていたメスのキリンが今月中旬、トラックでの移送中に死んだ。オスのいる岩手サファリパーク(岩手県一関市)に、約22時間をかけて運ばれる途中だった」(4月26日、読売新聞)。

 繁殖を目指すための移動だったようですが、キリンはもちろん首が長い。ただ、道交法施行令には高さ制限もある。「ひまわり(注:キリンの名前)は脚を広げ、首を前方に伸ばした姿勢で収容された。トラックは12日朝、神戸を出発。飼育員が1~2時間おきに様子を確認するなどした」(同)。

 窮屈だったのでしょう(想像です)。態勢を変えようとして、転倒して、そのまま。いくら繁殖が大事とはいえ、さすがに無茶な移動計画だったのではないか。いや、違うのでしょう。ある程度の頻度でこうした移動が行なわれていて、何もなければ報じられないが、事故が起きたので報じられるのだと思う。

 何ともやりきれない思いになっていたら、今日の日本経済新聞日曜日版が動物園特集でした。記事に紹介されていたのは「動物福祉」という考え方です。「中世に貴族ら富裕層が珍しい動物を収集展示した施設「メナジェリー」が近代動物園の起源とされる。1882年開園の上野動物園も含め、当初の動物園は「見せ物」としての側面が強かった。だが狭い空間に動物を閉じ込め、人目にさらし続けるやり方はもはや許されない」(5日、日経)。

 そう考えると、キリンの移動はどうなのか。ただ、直後に次の記述もあります。「動物園に求められる役割も変化した。絶滅の危機に瀕する生物の研究や保存への貢献がますます求められているのだ」(同)。

 種の保存という使命に傾きすぎて、種の命を奪ってしまっては本末転倒でしょう。動物にしても、植物にしても、それを見ながら問われているのは、常に人間の姿勢なのだと思います。だからこそ、週に1度は動物の番組を見たくなるのではないかと。


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