2022.05.29

映画の話題から

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 毎朝読む日本経済新聞。最初に読む記事はその日次第ですが、1面で欠かさず読んでいるのが、先週も紹介した「春秋」という短いコラムです。「切手やコインを商う40歳の男性が、ひょんなことから自民党公認候補として2005年の川崎市議会補欠選挙に出馬する。人脈も後援会組織もない。政治の素人が展開するドブ板選挙の舞台裏にカメラを向けたのが、07年に公開されたドキュメンタリー映画「選挙」だ」(27日、日経)。

 なんと、想田和弘監督の作品ではないですか。当然見ましたし、その後、2回目の出馬を追った『選挙2』も楽しみました。最初は自民党公認、2回目は無所属での出馬で、周囲の態度の豹変ぶりもすさまじい。

 で、「春秋」は最初の1文を読むと、何の話題が展開されるか、多くの場合予測可能です。今回も然り、最高裁での違憲判決でしょう。その原告団の1人が想田監督でした。

「在外邦人が国民審査に投票できない法律を「違憲」と結論付けた25日の最高裁判決。……「爽快です。我々の主張が全面的に認められた。裁判官全員一致の完全勝訴で本当にうれしい」。原告5人のうちの1人で、1993年から21年まで米国で暮らした映画監督、想田(そうだ)和弘さん(51)は判決直後、最高裁前でガッツポーズをしながら笑顔を見せた」(26日、毎日)。

 映画の話でいえば、6月24日に日本でも公開される是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』。昨晩のカンヌ映画祭で、キリスト教系団体が選ぶエキュメニカル審査員賞を獲得し、主演のソン・ガンホさんが男優賞を獲得しました。『パラサイト』は見ていませんが、光州事件を描いた『タクシー運転手 約束は海を越えて』での演技が印象に残っています。

 各賞発表前の27日、是枝監督や出演者の皆さんは記者会見に臨みました。「最初は少し緊張気味に見えた是枝監督ですが、「是枝監督とほかの韓国人監督との違いは?」と問われたガンホさんが、「食が大好きなところ。美食を好み、韓国料理が好き」と会場の笑いを誘う回答をしたこともあり、徐々に表情もやわらいでいきました」(28日、読売新聞オンライン)。

 海外で生活する日本人に向けた最高裁判決。フランスや韓国でも映画を作る監督。時代の流れを反映していると思いますが、それに比べて2007年の『選挙』は、なかなかに対照的です。「夫人も選挙カーに乗り、「候補者の家内です」と頭を下げる。陣営のベテランが、「妻」でなく「家内」と名乗るよう指南した。夫を立てる響きが好ましく、「おっかない家内です」のだじゃれが有権者に受けたりするからだ」(27日、日経)。

「春秋」の書き手は「笑ってしまう」と評しましたが、笑うに笑えない現実が、足元にはまだまだ山積しています。


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