2022.04.17

とにかく争わない

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

『ひとはなぜ戦争をするのか』(講談社学術文庫)を読んでいます。

 物理学のアルバート・アインシュタインと精神医学のジグムント・フロイト。アインシュタインがテーマを選びフロイトに書簡を送り、そのテーマにフロイトが返信をする。国際連盟の依頼に基づく1932年のやりとりです。

 まだ読んでいる途中なので何とも言えませんが、フロイトの、破壊欲動はどのような生物の中にも働いており、人間から攻撃的な性質を取り除くことはできない、という指摘には、疑問を持っておきたい。いや、次の指摘には納得ですが。「あなたもご指摘の通り、人間の攻撃性を完全に取り除くことが問題なのではありません。人間の攻撃性を戦争という形で発揮させなければよいのです」(同書、P.46)。

 動物は「利害の対立」を暴力で決着をつける。人間も基本的に同じとしつつ、他の動物と違うところは、人間には「意見の対立」があり、「きわめて抽象的なレベルで意見が衝突することさえあります。ですから、暴力以外の新たな解決策が求められてきます」(同書、P.24)。

 では、最近問題となるヘイトクライムはどう考えればいいのか。どうしたら解決できるのでしょうか。「「韓国が嫌いだった。日本人に注目してほしかった」。朝鮮半島出身者の子孫が暮らす京都府宇治市の「ウトロ地区」の住宅に火を付けたとして、非現住建造物等放火の罪で起訴された男(22)は、そんな供述をしたという。この事件が、民族蔑視に基づく「憎悪犯罪(ヘイトクライム)」として注目を集めている」(10日、47NEWS、https://nordot.app/881734797093961728?c=724086615123804160)。

 要約するのが難しく、お時間が許せば全文を読んでいただきたいので、URLを掲げておきました。住んでいる場所から自転車で10分も走ればウトロ地区に行けます。コロナ禍による資材高騰や火事の影響によるセキュリティ強化などの影響で、4月30日に開館予定の「ウトロ平和祈念館」について、資金不足が生じていると聞きました。そして、さすが今どきの時代、クラウドファンディングが開始されています。

 このブログでも2回ほど取り上げたウトロ地区について、地元にいながらあまりにも知らなさすぎる。その反省もこめて、早速、応援してみました。

 先の記事の後編(https://nordot.app/881738925181091840?c=39546741839462401)では、ウトロ地区出身の弁護士具良鈺(ク・リャンオク)さんが、ヘイトクライムが起きてしまう要因をこう語りました。「在特会もそうですが、ウトロの放火事件も、在日コリアンのことをよく知らないまま、ネット上に氾濫している情報をうのみにしている。それで嫌悪と差別の感情をどんどん増幅させてしまっています」。

 なので、まずは知ること。そして、問題が変われば、自分が差別される側になる可能性があると考えること。「社会問題として広く認知され、日本社会の人々が「自分にも起こり得る問題なんだ」と認識し、関心を持つことです」(具さん)。

 冒頭の掲げた本を手に取ったのも、とにかく争わないためのヒントを探したいと思ったから。ネットのコメントや見出しだけで判断するのは危険です。時には時間をかけて、社会で起きていることに関心を持つ。働き方改革の意義があるとすれば、その大きな要素の1つだと、私は思います。


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