2021.12.05
複数の視点で
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
あるメーリングリストで、「最近よく耳にする現代貨幣理論(MMT)について多面的に解説した本はないでしょうか」という質問が流れてきました。
預金残高に金額が書き込まれることで、つまりお金を借りることで世の中にお金が作り出される。需要不足の時代、需要を作り出すための財政支出を惜しむ必要はない。少なくとも先進国で、かつ通貨発行権を持つ国であれば、国債発行をためらう必要はない。世界一ひどい財政状態だと言われる日本が破綻せず、ギリシャやイタリアが破綻したのは、通貨発行権を持たないから。国債発行してもインフレは起きない。起きても、制御可能。
もちろん、理解が間違っているかもしれませんが、先の質問に私が読んだ本を3冊、紹介しました。MMTに対する態度を、どこに置いているかによっての3冊です。
【賛成】
『奇跡の経済教室【基礎知識編】』
中野剛志、KKベストセラーズ
【真ん中】
『「現金給付」の経済学』
井上智洋、NHK出版新書
【反対】
『財政爆発 アベノミクスバブルの破局』
明石順平、角川新書
質問した方はMMTに懐疑的だったようですが、賛成にしろ、反対にしろ、新しい(実は新しい理論ではない)考え方を複数の視点でとらえておく必要があるのではないかと。
そういえば、少し前の読書会で、明らかに考え方が違う人の本も読んでみようかと思います、とおっしゃった方がいました。驚いて、「それは体に悪くないですか」と答えたのですが、明らかに内容のない本を読むのは時間の無駄だと思います。読んでもいないのに内容がないと断言できるのは、著者の普段の言動が、明らかに虚無だから。
両論併記と言えば聞こえがいいのですが、併記してはいけない論を語る人の声に、耳を傾ける必要も時間もないと思います。ただ、そういう論を支持してしまう人がいる現状を、どうすればいいのか。それは、考え続けなければなりませんが。