2021.11.28

国際社会から見た日本

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 グローバル、と叫ばれる割には、
 国際社会における相対的な日本の位置づけには関心が低いのではないか。

 日本の報道だけを見ていると、
 国際社会における相対的な日本の位置づけが下がり続けていることに気づきにくい。

 その点、
 2021年10月15日の日本経済新聞「大機小機」は、
 経済との関連での論点が的確にまとめられていました。

 末尾に、その記述を引用するとして、
 最近出会った2つの話を、まず引いておきたいと思います。

 1つは、
 国際政治や戦争に関する著書も多い伊勢崎賢治さんがツイッターで書いていたこと。

「ノルウェー滞在4日目。「戦争犯罪も、人道に対する罪も、ジェノサイドも裁く法がなくて、死刑制度があるんだよね」って平和学の有名な学者に言ったら「そんな残酷な国あるの?」って聞くので「僕の国日本」って言ったら腰を抜かしていたよ」(24日、ツイッターより)。

 もう1つは、
『「自由」の危機-息苦しさの正体-』(集英社新書)で、
 劇作家の永井愛さんが書いていたこと。

 2004年、都立高校教師など240人以上が、
 国歌斉唱時の不起立や伴奏拒否を理由に処分されるという事態が起きました。
 憲法で保障される「思想・良心の自由」の問題ではなく、
 業務命令違反という問題で処罰してしまった。

 そのことを題材に、05年、『歌わせたい男たち』を上演したそうです。

「……そもそもは、ロンドンのブッシュ・シアターという劇場から一緒に公演をやらないかと持ちかけられて書いたものです。そこで芝居のあらすじを書いて送ったら、芸術監督に「これは何十年前の話ですか?」と訊かれた。私が「いまです」と答えたら、信じてもらえませんでした。彼にしてみれば、およそ現代の話だとは思えなかったのですね。続けて、こう言われました。「この芝居はロンドン市民には理解されないだろう。もしイギリスでこういうことが起きたら、まずその学校の保護者たちがおかしいと言い出す。それは右だとか左だとかにかかわらず、そのような一方的なやり方をしたら、周囲の人たちが許さない」と」(P.224-225)。

 いかにすごいか、ではなく、
 いかにおかしいか、をまずは直視しなければ、
 現状を良くしようという行動も始まりません。

 そして、現状を良くしていくのに必要なのは、
 誰か強いリーダーなどではなく、
「民」が「主」であると自覚した私たち、一人ひとりなのだと思います。

 誰かが、やってくれるのではない。
 誰かに期待して、誰かが登場したとしても、
 その誰かは、私たちの「代理」でしかない。
 その誰かが間違えたときに声を上げるのは私たちです。

 現状がいかにおかしいか。
 もうお腹いっぱいかもしれませんが、さらに満腹になるために、
 最後に上に述べた日経新聞の記事を掲げておきます。

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2021年10月15日、日経「日本経済の立ち位置、直視せよ」

「まず第一は経済全般の評価だ。日経平均株価は経済のバロメーターともされる。世界の株式市場と比較すると、日本を除く先進国では一貫して右肩上がりが継続しているのに対し、日経平均株価は30年前の水準にとどまっている」。

「第二は、かつて経済一流とされた企業の評価だ。個々の企業の株価を検証すると低迷が続いている企業が驚くほど多い。世界との比較では、時価総額で上位に位置する日本企業は今や極めて限定的だ」。

「第三は付加価値の総和である国内総生産(GDP)だ。平成の30年間でわが国のGDPが世界に占めるシェアは10ポイントほど下落し、今や世界の6%程度まで落ち込んでいる。しかも給与所得者の賃金も長期にわたり上昇していない。豊かさの指標でもある1人当たりGDPもシンガポール、香港などの後じんを拝し豊かな国から脱落しつつある」。

「第四は研究開発力だ。文部科学省の「科学技術指標2021」によれば、引用されるわが国の論文シェアが急低下している。資源の乏しいわが国で研究開発力が低下すれば価値創造への期待が持てない。背景の一つに研究開発費の不足が指摘される」。

「第五はジェンダーギャップだ。世界経済フォーラムが公表する最新の指数は世界120位という情けない状態だ。ジェンダーギャップ解消に向けた取り組みは世界から周回遅れとされ、少子化が止まらない要因との指摘もある」。
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