2021.11.21
ガバナンスのバランス
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
いくつかの組織で、
社外の監事を務めています。
こちらにも緊張感がありますが、
監査を受ける理事の皆さんにも緊張感があるでしょうか。
ただ、社外ですから、
内部の事情は意思疎通を図りながら情報を得るしかありません。
緊張感と信頼関係の両立が必要です。
日大アメフト部の悪質タックル問題。
東京医科大の入試不正問題。
そういった私立大学の問題を受け、
文部科学省が設置した有識者会議(学校法人ガバナンス改革会議)が
大幅な制度改正を提言するそうです。
「相次ぐ私立大の不祥事などを受けて文部科学省が設置した有識者会議が、私立学校の経営体制をめぐって大幅な制度改正を求める報告書を、同省に来月提出する方向となった。私立学校を運営する学校法人の最高議決機関を、学長らが中心の理事会から、学外の人だけでつくる評議員会に変えるのが柱だ」(20日、朝日新聞デジタル)。
学外の人だけ・・・
すぐに思い出したのは、横綱審議委員会です。
相撲協会メンバーは委員になれず、
横綱の品格とやらを上から目線で放言しているとしか見えません。
いや、それは主観ですが、
ただ、横審が扱うのは横綱に関する事項ですから、
相撲全体についての意思決定は相撲協会が行なっているのでしょう。
私立大学という教育の場で、
最高議決機関を教育に携わっていない外部の人だけにすると何が起きるのか。
冒頭に書いた監事もそうなのですが、
内部の事情を知らないがゆえに発言できることがあるのは事実です。
ただ、ある意味で無責任な発言もできてしまう。
それを、内部の事情を知っている理事によって補いながら、牽制効果を発揮していく。
車の両輪のように、外部-内部のバランスが必要です。
上の私立大の問題。
提言の具体的内容はこちらです。
「現在は学校内の人も入っている評議員会のメンバーを学校外の人だけにしたうえで、理事の選任・解任や予算・決算、合併や解散などの重要な決定を行えるように、私立学校法などの法令の改正を提案するという内容だ。評議員を選ぶ際も、理事会や理事が選ぶのを認めず、選定のための委員会を設けることにし、プロセスを公開して透明性を確保するよう求めている」(同)。
私立大側の反応は。
「早稲田大や慶応義塾大などが加盟する日本私立大学連盟は10月に公表した意見書で「(学外者だけの評議員会では)長期的視野により責任をもって教育研究の支援・運営に関する経営判断の是非を議論するのは困難」と批判。全員を学外の人にするのではなく、「一定の割合以上」にするよう提案している」(同)。
緊張感しかない体制をつくっても、信頼関係は築けないだろう。
二項対立とか、両極端とか、
議論としては分かりやすいのですが、
事は教育に関わること、バランスを求める私立大側の反応が常識だと思います。