2021.10.24

無関心に苛立つ

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 連日、選挙カーが賑やかに走り回っています。

 31日に行なわれる衆議院選挙は、
 4年に1度の政権選択選挙でしょう。
 この4年を振り返って、
 今後を誰に、どの政党に託すのか、判断しなければなりません。

 畠山理仁さん著、
『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社文庫)
 を読みました。

 衆議院選挙では少ないかもしれませんが、
 地方議会選挙や首長選挙など、
 どう考えても当選しないだろう、と思われる人たちが立候補していることがあります。

 世間では「泡沫候補」などと呼ばれますが、
 誰にも頼らず自分の足で動くという意味で、
 畠山さんは「無頼系独立候補」と命名し、
 その取材を20年以上に渡って続けてきた記録を本書にまとめました。

 主要政党ではない彼ら、彼女らも、
 対等の立場で立候補した1人の候補者。
 ところが、メディアで取り上げられる時間は限定的で、
 とはいえ、実はまともな政策を掲げていることも多い。

 さすがに、本人も当選しないだろうということは分かっている。
 それでも、選挙活動や供託金などの高いハードルをクリアして立候補するには、
 どうしても伝えたい何かがあるだろう。

 最終的に投票するかどうかは有権者が決めればいいけれど、
 誰が、どんな政策を掲げて立候補しているか、その情報は多ければ多いほどいい。
 主要候補しか取り上げられず、無頼系独立候補が「黙殺」されている状況は、
 あまりにももったいない。

 畠山さんの行動を貫く信念です。

 候補者は対等。
 たとえば、2017年5月のフランス大統領選挙では。

「いわゆる「主要候補」から「泡沫候補」に至るまで、全11人の候補者によるテレビ討論会が実際に行なわれたのだ。全4時間にもわたる討論番組では、すべての候補者の話す時間が平等になるように、画面上に持ち時間が表示されていた」(P.69)。

 たとえば、マック赤坂氏。
 スマイル党と称し、日本に笑顔が増えればと(おそらく)真剣に考えている。
 突拍子もない行動もあるが、
 そういった行動も何とか注目を集めようと考えてのこと。

「誰だって政治に無関係でいることはできない。それなのに、日本では多くの有権者が政治に無関心でいる。そのことにマックは強い苛立ちを覚えていた」(P.46)。

 いくら無関心でも、無関係ではいられない。
 自分たちのことを、自分たちで考えて決める。
 その自覚を持っているか、選挙のたびに問われるのだと思います。

「今、日本人はその収入の4割近くを税金や社会保険料として納めている。言うまでもなく、その使い道を決めるのが政治家だ。その政治家を2週間程度の短い期間で決めろというのは、いかにも無理がある」(P.131)。

 泡沫候補といっても、
 候補者が泡沫なわけではなく、
 候補者を泡沫と決めているメディアと、それを受け入れている私たちがいるということ。

 問題は、候補者にあるのではなく、私たちにあるのでしょう。

 この4年を振り返って。
 あるいは10年を振り返って。

 私はうんざりしていますし、
 人の、世間の、無関心ぶりに苛立つことも増えてきました。

 もちろん立候補はあり得ませんが、
 せめて、候補者の思いを知る努力は続けなければと思います。
 私たちより、「公への思い」の強い人たちのはずですから。


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