2021.10.17
単純化バイアス
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
「米経済学者ロバート・マイヤー氏(保険学)らが書いた「ダチョウのパラドックス」にその経緯が詳しい。人間には6つ、具体的には近視眼的思考癖、忘却癖、楽観癖、惰性癖、単純化癖、同調癖という厄介な「バイアス」があるという」(16日、日経)。
遠くの利益より、目先の売上。
不正・隠蔽が相次ぎ、過去の不正を忘れる。
自分が住んでいる地域に地震や津波は来ないだろう。
お菓子を食べ過ぎているが、3時になるとつい食べてしまう。
最近の若者は、ものを欲しがらず、意欲もなく、ゆとり世代の影響だ。
緊急事態宣言も解除され、みんな出歩いているようだから、大丈夫だろう。
さて、いくつ、あてはまる項目があったでしょうか。
今、日本で生活していると、
この6つのバイアスは見事に状況を言い当てていると感じます。
衆議院が解散し、選挙が行なわれることになりました。
その途端、目を覆いたくなるような「単純化」論理を展開している人たちがいる。
バカじゃないか、と思いますが、
本人がバカなのか、単純化に乗ってしまうほうがバカなのか、
それは、よくよく考えなければなりません。
単純化したがる人間の癖を利用した狡猾な物言いに、十分警戒したい。
何せ、主役は、私たち1人ひとりという、
形だけかもしれませんが「民主主義社会」を生きているのですから。
最近の若者は……
なんて言い出したら、自分が歳を取っている証拠です。
若い人にも、いろいろいる。
当たり前の話です。
世の中はより複雑になり、
でも、人間は複雑なことを、そのまま複雑には理解できない。
6つのバイアスの中で、
こと選挙に関して警戒しなければならないのは、
「忘却癖」「単純化癖」「同調癖」の3点でしょう。
ところで、なぜ「ダチョウ」なのか。
日経記事だけからは分かりません。
一般的には「アホな鳥」と思われているからなのでしょう。
そのダチョウの研究に没頭した方の言葉を引いておきます。
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『ダチョウ力』
塚本康浩
朝日新聞出版
P.48
大学院でニワトリのガン細胞を研究していた四年間、顕微鏡をのぞいているだけでは満足できず、夜は大学のOBが経営している動物病院で、アルバイトの獣医として働いたことがあった。
その頃は好奇心がフラフラしていて、ひとつのことだけに固執できなかった。まだ二十代で体力もあったから、やりたいことは片っ端から手を染めた。臨床獣医も経験してみたいと思っていた仕事のひとつだった。社会勉強をしようとか、世の中のペットのために力を尽くそうといった高尚な気持ちはなかった。「やってみたい」。ただそれだけだ。動物病院の社会経験が、後にダチョウの研究を始めるときに役に立つとは思いもしなかった。
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そう、やはり原点は「好奇心」でしょう。
とにかく忘却、単純化、同調には抗っていたいと、強く思っています。