2021.08.01
奈落への途上
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
不正。
隠蔽。
改竄。
嘘と詭弁。
この10年、
為政者たちの振る舞いに、
毎日毎日、心が殴られている感覚があります。
コロナ禍に五輪が重なり、
かすかに残っていた、
「政治家も官僚も、さすがにバカばかりじゃないだろう」
という淡い期待も粉々になりました。
まさかと思ったけれど、
本当にどうしようもないほど、
統治機構が壊れている。
空虚。
姑息。
明らかな嘘。
たとえば、菅首相の五輪を巡るコメント。
4/23:私に五輪中止の権限はない
7/20:五輪をやめるのは一番簡単なこと
7/27:五輪中止の選択肢はない
そもそも、やめる気もない。
やめるだけの調整力もない。
その場しのぎの空虚な言葉たちです。
また、過去最高の感染者を出している状況で、
7月30日、首相と都知事は何と言ったか。
菅首相
「人流が減少しているのが事実。さらに抑制するために、自宅でテレビ観戦をしていただけるような要請もしっかり行っていきたい」(30日、東京新聞)。
小池都知事
「実際に(五輪が)20%を超える視聴率を上げていることは、テレビでご覧になっていることを示し、ステイホームにつながっている。ですからオリンピックはそういう意味でステイホームに一役買っている」(30日、東京新聞)。
翌日31日、TBSの報道によれば。
「きのう夜9時の東京の人出を1週間前の同じ時間帯と比べたところ、▼渋谷駅でプラス50.2%、▼銀座駅でプラス96.7%、▼新宿駅でプラス27.2%となるなど多くのところで増加しました。
また、新たに緊急事態宣言の対象となる首都圏の3つの県でも▼横浜駅でプラス49.3%、▼関内駅でプラス77.5%、▼大宮駅でプラス47.3%、▼西船橋駅でプラス47.7%となっていて、首都圏の多くの場所で祝日だった先週金曜日よりも大幅に人出が増えました」。
つまり、
首相や都知事の発言は、
論理飛躍や論理破綻という次元を超え、端的に言って嘘です。
この嘘は、ごく一端。
毎日、嫌というほど嘘や詭弁が繰り返されています。
どうして為政者は嘘をつくのか。
1 その場さえしのげれば、愚民たちはすぐに忘れる。
2 国内メディアなんて、恫喝しておけば何とかなる。
3 力強い言葉で、何かやっている感を出せればいい。
4 自分たちの地位や利権が優先順位の圧倒的筆頭だ。
5 ・・・
そんな空虚で姑息で嘘つきの為政者を許してきたのは、私たち。
責任者が責任を取らない(取る気もない)のですから、
大人たちが、自分のできる範囲で引き受けるしかない。
ごく幼少の頃、
東京都世田谷区に住んでいました。
今の区長は、保坂展人さん。
その保坂さんの言葉を、最後に紹介しておきます。
「私は、「強いリーダーシップ」という言葉に空疎な危うさを感じる。まず、統治機構に求められるのは一方的な決断ではなく、「事態を正確に読み解く力」「現場からの声を傾聴する力」「自らと異なる主張や分析が正しければ受け入れる力」であり、その上での決断なのだ。私たちは絶望や無力感にとらわれがちだが、誰もが変革への熱意を捨てあきらめた時は、さらに政治や社会の劣化はとめどなく進み奈落へと向かう」。
(『こんな政権なら乗れる』朝日新書、P.221)
今、奈落に向かっている途上にある。
まずは、その現実を直視しなければなりません。
五輪とコロナ禍のおかげで、
そのほころびが噴き出してきたのは、いい機会です。