2021.07.18
赤字国債にこだわる
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
16日の日本経済新聞に、
「福田赳夫氏のこだわり 「赤字国債」に託した思い」
という記事が掲載されました。
国債には、
建設国債と赤字国債があります。
「財政法の4条に基づいて公共事業の財源に充てる建設国債と、歳入が足りなくなったときに特例法をつくって穴埋めする赤字国債だ」(16日、日経)。
日本が戦後初めて国債を発行するとき、
大蔵省と大蔵大臣池田氏の意見は対立したと。
「大蔵省の事務方は、特例法を制定しないで済む建設国債の発行を主張した。必要な発行額は、65年度の当初予算に盛り込んだ公共事業費の枠内に収まっていたからだ」(同)。
「ところが、大蔵省のOBでもある福田氏は「建設公債の名は借りたくない」と突っぱねた。後輩たちのたび重なる説得にも耳を貸さず、赤字国債として発行すべきだと訴えた」(同)。
1965年は、
前年の東京五輪が終わり、深刻な不況。
「なぜ建設国債ではだめなのか。「評伝」の共著者で、福田氏が経済企画庁長官だったときに秘書官として仕えた長瀬要石氏は次のように話す。
「当初予算の審議でひと言も触れなかった建設国債を、歳入が足りなくなったから発行します、では筋が通らない。ごまかしを嫌う福田さんは、財政の危機的な状況を国民に正直に示したかったのだろう」」(同)
筋を通す。
ごまかしを嫌う。
それだけでも、
「すがすがしい」と感じてしまいます。
五輪にしろ、
コロナ禍対応にしろ、
毎日毎日、筋の通らないことだらけで、
嘘やごまかしや空虚な言葉の連発。
怒り続けること。
おかしいことにはおかしいと言うこと。
ごまかすなよ、いい加減にしろよ、意味あることをしゃべれよ。
日々、疲れますが、せめてもの砦は守らなければなりません。
福田氏の評価は分かれるのでしょう。
「財政規律が緩むきっかけをつくったとの批判があるかもしれない。しかし、タブー視されていた赤字国債の発行に道を開き、不況時には国が借金してでも積極的に財政出動するしくみを確立したのは、福田氏の功績と言っていい」(同)。
スポーツのメールマガジンを11年以上書いている身として、
これほど歓迎されず、むしろ憎まれる五輪は初めてでしょう。
仮にうまくいっても(その可能性は既に低いですが)、
私は忘れません。
単なる2週間のお祭りのために、
国民や関係者の命を賭場に置いた人たちがいたことを。
うまくいった、ですむ話ではないと、私は思います。