2021.05.30

国の借金

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

「財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計したいわゆる「国の借金」が2021年3月末に1216兆4634億円になったと発表した。前年同期から101兆9234億円増え、過去最高を更新した」(10日、日経)。

 借金が増えすぎて、
 はいはいとしか感じなくなっています。

 借金はいくら増えてもいいのか。
 あるいは、
 国債増発は信頼低下によるインフレを招くので、財政均衡を図るべきか。

 たまたま先週、
 3か月に1度の読書会でも、その話題が出ました。

 別のブログに書いたことを、
 加筆して掲げておきたいと思います。

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 インフレが起きるか、起きないか?

 この点については、MMT論者の言い分に説得力があるように感じる。インフレやハイパーインフレが起きるという人たちは、決まって歴史を口にする。過去にインフレやハイパーインフレが起きた。歴史で実証されており、今度も起きると。それに対しMMT論者は、「では、なぜ、今起きていないのか」「では、なぜ、ギリシャで起きたことが日本では起きていないのか」と問う。借金は既に増え、財政状態も先進国でもっとも悪化している。それでも、今、日本ではインフレになっていない。起きてもいいはずのことが起きていないのは、なぜなのか。その視点から、貨幣と通貨発行権を論じている点に、説得力を感じる。

 一方、経済に何が起きるか(あるいは起きないか)を完全には予測できないだろう。インフレもハイパーインフレも、何かのきっかけで起きるかもしれない。財政規律が悪化し、円に対する信用が低下し、円安となり、輸入品の物価が上がることでインフレとなる。その論理、あるいは、信用不安による金融危機というシナリオにも、なるほどと思う。この点、仮にインフレが起きた場合、それを抑制可能と考えるMMTは行き過ぎだと思う。日銀による売りオペや政府による増税などのインフレ抑制策が、インフレ進行のスピードに追いつけるのか? 予測できないことが起きるはずなので、抑制可能かどうかも予測できないはずだ。インフレが起きた場合の論理は、財政規律論者のほうに説得力があるだろう。

 インフレが起きるのか、起きないのか。起きないし、起きても制御可能と考えるMMTと、起きるし、起きたら制御不能と考える財政規律論と。どちらも極論のように感じる。何が起きるか予測できない以上、答えは常に極論の間にあるのだろう。その間で、最適解を探すしかないのではないかと思う。
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