2021.03.14

住めない土地

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

『白い土地 ルポ福島「帰還困難区域」とその周辺』
(三浦英之さん、集英社)

 東日本大震災とそれに伴う原発事故から10年。
 だからなのか、そうでないのか、
 最近、災害関連の本を読み続けています。

 朝日新聞記者でルポライターの三浦さん。

 前々々回に紹介した『災害特派員』の著者でもあり、
 南相馬に拠点を置いていた2018-19年、
 還れない土地に関わる人たちに焦点をあてたルポが本書です。

 ツイッターで1年前に見た映像。

 福島を訪れた安倍総理(当時)のぶら下がり会見で、
 予定調和を崩して質問を投げかけたのも三浦さんでした。

「地元・福島の記者なのですが、質問をさせていただけませんでしょうか」(P.241)

 そして、山ほど聞きたいことがあった三浦さんが、
 1つしか聞けないと覚悟して繰り出した質問とは。

「ここ福島でオリンピックが開かれます。安倍総理はオリンピックを招致する際、第一原発は『アンダーコントロールだ』と言いました。今でも『アンダーコントロール』だとお考えでしょうか」(P.241-242)

 質問に対する為政者の答え。

「いろいろな報道がございました。間違った報道もあった。その中で正確な発信を致しました。そしてその上においてオリンピックの誘致が決まったものと思います」(P.244-245)。

 当事者として、
 いや、当事者と関わってきた人間として、
 三浦さんが抱いた絶望感は、相当に深かったはず。

――――――――――
P.245-246

 彼はきっと「知らない」のだ――かつての私がそうであったように。
 廃炉作業が思うように進んでいない福島第一原発の現実も。《白地》と呼ばれる一〇〇年以上も住民が住めない帰還困難区域が広がる沿岸部の風景も。そこで暮らす人々の気持ちも。ただ故郷で暮らしたいと願う、県外でそれぞれ避難生活を送る家族が離れて見る夢も。
――――――――――

 知らないことは、
 知ろうとすることで、
 1歩を踏み出すことができます。

 大事なことは、
 知ろうとすること。

 言葉が適切か分かりませんが、
 好奇心を失ったとき、成長は止まり、希望も失われてしまうように思います。


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