2021.01.03
どうでもよくない仕事
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
2021年になりました。
あまりに分厚くて、
とてもカバンに入れて持ち歩けない。
ということで昨年末から読んでいた
『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』(岩波書店)
を読み終えました。
話の出発点はと言えば。
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P.3
一九三〇年、ジョン・メイナード・ケインズは、二〇世紀末までに、イギリスやアメリカのような国々では、テクノロジーの進歩によって週一五時間労働が達成されるだろう、と予測した。かれが正しかったと考えるには十分な根拠がある。テクノロジーの観点からすれば、これは完全に達成可能なのだから。ところが、にもかかわらず、その達成は起こらなかった。かわりに、テクノロジーはむしろ、わたしたちすべてをよりいっそう働かせるための方法を考案するために活用されてきたのだ。この目標のために、実質的に無意味な仕事がつくりだされねばならなかった。とりわけヨーロッパや北アメリカでは、膨大な数の人間が、本当は必要ないと内心考えている業務の遂行に、その就業時間のすべてを費やしている。
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本書のもとになるデヴィッド・グレーバーさんの小論文が出たのが2013年。
その後、実際に行なわれた調査の結果は、さらに驚くべき回答だったと言います。
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P.12-13
…世論調査代行会社のYouGovが仮説の検証を買って出ることになり、小論の文言をそのまま引用してイギリスでの世論調査を実施したのである。たとえば、あなたの仕事は「世の中に意味のある貢献をしていますか?」という質問に対しては、おどろくべきことに三分の一以上――三七%――が、していないと回答したのである(一方、していると回答したのは五〇%で、わからないと回答したのが一三%だった)。
この数字は、わたしの予想よりも倍近いものだった――わたしはブルシット・ジョブの割合は、おそらく二〇%前後だろうとふんでいたのである。さらには、しばらく後のオランダにおける世論調査も、まったく同様の結果を示した。それどころか、さらに若干高く、オランダの労働者の四〇%が、自分の仕事が存在する確固たる理由はない、と報告したのである。
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前後しますが、ブルシット・ジョブとは。
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P.19
暫定的定義=ブルシット・ジョブとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある雇用の形態である。
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これまで、
漠然と考えていた疑問が2つありました。
一、仕事は効率化しているはずなのに、なぜ働く時間が減らないのか。
二、電車の運転手は間違いなく世の中に貢献しているはずなのに、給与が連動しているように思えないのはなぜか。
この2つの疑問に、
本書は考える道筋を示してくれたように思います。
私たちが住んでいる世界は資本主義の仕組みで動いているはず。
でも、実はそれは、ある種の思い込みに過ぎないのではないか。
そんな常識を疑う姿勢の大切さも伝わってきます。
9月、59歳の若さで亡くなってしまったデヴィッド・グレーバーさん。
その思考を、考察を、しっかり振り返りながら、
1年を歩き始めたいと思います。