2020.12.20
管理しない
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
小中学校の成績をマイナンバーカードに紐付ける――。
そんな報道があったのが5日ほど前でした。
「政府は小中学生の学習履歴やテストの成績をマイナンバーにひも付けてオンラインで管理する仕組みをつくり、2023年度にも試行する方針を固めた。蓄積した教育ビッグデータを指導方法の改善や教育政策の検証に役立てるのが狙い。海外に比べ遅れている教育分野のデータやICT(情報通信技術)化を急ぎ、優れた人材の育成につなげる」(15日、日経)。
また、バカなことを考えるなあ、
という所感は、今も変わりません。
教育を、「人材」や「ビッグデータ」というビジネス用語でしか考えない。
テストの成績を、
一生カードに入れて持ち歩くことが何をもたらすのか。
そういうことを1ミリも考えない想像力の欠如に、呆然としています。
不思議なことは、
成績の管理にしろ、時間の管理にしろ、
とかく行政や組織は管理をしたがること。
マイナンバーカードなんて、その典型でしょう。
すべてを1枚に集約する。
利便性という言葉に惑わされがちですが、
データの悪用などという意思すらなく、ただ管理したいだけでしょう。
「何のために」という思想が、ない。
多様化する社会の中では、
多様な価値観が生じ、物事はますます複雑化する。
多様な人たちが必要だ、と叫ぶ割には、
多様な価値観を多様なまま活かそう、という発想がなく、一元管理したがる。
典型的な言行不一致です。
管理されれば、最初は窮屈になる。
そのうち、
管理されていることの「楽さ」に気がつく。
管理されるままに動いていれば責任が生じないのですから。
そうやって、1億総無責任体制をつくってきたことが、
ここにきて、日本の相対的地位が低下している要因の1つだと思います。
管理しないことで、
それぞれが自由と責任を考えることが大事だと思うのですが、
どうも、聞こえてくるのが反対の話ばかりなのは、残念です。