2020.10.11

難しすぎる判断

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 最近、新聞を読んでいると、
 難しすぎる問題に頭がくらくらすることがあります。

 原子力発電所から生じる使用済核燃料。
 その廃液をどう処分するのかについて、
 つまり、地中300mに埋める処分場をどこに建設するか、
 という問題も、その1つです。

「原子力政策の長年の課題であった核のごみの処分場選定が動き始めた。北海道寿都(すっつ)町の片岡春雄町長は9日、経済産業省を訪れ候補地選定の前提となる「文献調査」への応募を伝えた。道内の神恵内(かもえない)村も同日、文献調査に関する国の申し入れの受諾を表明した。調査は入り口にすぎない。詳細な地質調査や周辺自治体の理解など関門が待つ」(10日、日経)。

 文献調査(2年)
  ↓
 概要調査(4年)
  ↓
 精密調査(14年)

 建設地決定までの年数は20年。
 今、意思決定する立場にいる人たちは、
 誰も現役として残っていない年限でしょう。

 寿都町にしても、
 神恵内村にしても、
 人口減少に見舞われ、
 背に腹は代えられない。

 一方で、
 これほど大きな問題には当然賛否があり、
 町民、村民を、どうしても二分することになってしまう。

 今の北海道知事は、
 概要調査に進むのなら反対と明言している。
 そもそも首長が変わって、
 方針が変更されることもあるのではないか。

「処分場のない状況は「トイレがない」とも批判されてきた。国は2017年に候補の有望地を示した「科学的特性マップ」を公表したが、3年以上も名乗り出る自治体はなかった」(同)。

 総論賛成、各論反対、が通常でしょう。
 議論をリードしなければならないのは、国。

「問題を複雑化させてきたのは国の先送り体質だ。原発の建設を優先し、「バックエンド」と呼ばれるその後の廃棄物の処理には解決策を示してこなかった。日本で商用原発が稼働してから半世紀以上がたつ。「電源確保が喫緊の課題で40、50年先のことまでよく考えていなかったのではないか」と原発政策に携わった元経産官僚は話す」(同)。

 この元官僚の評論家風コメントこそ、
 他人事で先送りしてきた現状を象徴しているような気がします。

 難しい問題は、
 先送りすればするほど、難しさが累乗していく。

 政策も、人の感情も、同じです。

 いや、それにしても、難しい。
 まずは、入口を抑制することくらいしか、思いつきません。


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