2020.09.20
経済も命も
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
小幡績さんの
『アフターバブル』(東洋経済新報社)を読みました。
コロナ禍のことにも触れた直近の著書ですが、
後半、「経済と命の比較がすべてを狂わせる」という指摘は重要です。
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P.200-201
普通の社会では、経済と命は別であり、比較しない。したがって、経済も大事だし、命も大事だね、ということになり、むしろ比較しないことでバランスがとれる。
一方、日本では、必ず比較して、命を犠牲にするのか? という議論をしてくる強硬な人々がいる。こういう人々と、日本で議論しては勝てない。なぜなら、比較すれば、日本では、もちろん命で、経済は二の次になるからだ。彼らは賢く、命と経済をあえて比較することで、比較すれば「命」優先とならざるを得なくなり、経済とのバランス、という議論を封印することに成功することを見越している。
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二者択一の先にあるのは、思考停止。
経済か命か、という問いには、
まず「その問いが間違っている」と指摘しなければなりません。
どちらかで答えなくてもいいし、
どちらかで答えるのは間違いなのです。
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P.201
経済がめちゃくちゃになっても、ああコロナだったから仕方ないね。それが彼らの暗黙の論理だし、日本の多くの人々の暗黙の意識だ。
しかし、一方、命がひとつでも失われると、特に有名人の命が失われると、命には代えられないという論理が台頭し、すべてのことが許される。非合理であっても、矛盾があっても、妥当でなくとも、そして、命を救うために実際には逆効果であっても、命を守るために行っていることはすべて許される。
これが、本来比較できない経済と命を比較することによって生み出される「思考停止」状態だ。
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二者択一の問いには、要注意。
本当に比較できる、比較してもいいニ者なのか。
思考は、そこから始まります。