2020.04.26
運なのか、成功なのか
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
感染者数について、
最近、数字を見ないようにしました。
検査が増えれば、数も増える。
ただ、累積数が増えたところで、退院者も増えているだろう。
コロナ以外の理由でも、人は死にます。
その中で、欧米とは2桁違う数百人の死者でとどまっている状況は、
運なのか、成功なのか、あるいは今だけの話なのか、どうもよく分からない。
もちろん、
医療関係や、スーパー、配達、郵便、銀行など、
最前線で頑張ってくれている方々への敬意を忘れてはならないでしょう。
同時に、
マスクや助成金や休業要請や、
なんやかんやで右往左往する政府のことも、よく覚えておきたいと思います。
1か月前まで、オリンピックの通常開催に必死でした。
なぜ、他国の感染症対策から学ばなかったのか。
思想家で武道家の内田樹先生は言います。
「一つには、東京オリンピックを予定通り開催したいという願望に取り憑かれていたからです。そのために「日本では感染は広がっていない。防疫体制も完璧で、すべてはアンダーコントロールだ」と言い続ける必要があった。だから、検査もしなかったし、感染拡大に備えた医療資源の確保も病床の増設もしなかった。最悪の事態に備えてしまうと最悪の事態を招待するかも知れないから、何もしないことによって最悪の事態の到来を防ごうとしたのです。これは日本人に固有な民族誌的奇習です。気持ちはわからないでもありませんが、そういう呪術的な思考をする人間が近代国家の危機管理に当るべきではない。」
(ブログ『内田樹の研究室』より)
最近、報道でも「プランB」「プランC」という言葉を目にするようになりました。
今の「プランA」がうまくいかなかったときに備えて、
次のプラン、その次のプランを構築しておく。
プランAがうまくいかなったら、
なんて考えるからプランAがうまくいかなくなるんだ。
内田先生の言う「民族的奇習」「呪術的思考」ですが、
そういう思想で数百万人が犠牲になったのは75年ほど前のこと。
税理士・公認会計士・弁護士の関根稔先生は言います。
「青色申告の承認申請の提出期限を、事業年度終了の日か、あるいは前日だったか――などと記憶するのではなく、今日、提出してしまうという冗長性の確保が大切なのだ。
この業界で最後まで生き残ろうと思うのであれば、必要なのは限界に挑戦する度胸ではない。予備プランを考え出す柔軟な発想と、常に心配し、冗長性の確保を心掛けるノミの心臓なのだ。」
(『税理士のための百箇条』財経詳報社、P.17)
楽観論が不要とは思いません。
祈りが大切なこともあるでしょう。
でも、その考えに居着いてしまったり、
取りつかれてしまうのは危険。
柔軟に、冗長性を持ち、何を守る必要があるかの軸を見失わない。
そのことを、あらためて強く認識したいと思っています。