2020.04.05
一概には言えない
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
学校は、
このまま再開されるのでしょうか。
大阪市(府?)では5月6日まで休校のようですが、
京都市では、予定通り、来週には再開するのだとか。
状況は、ますます緊迫してきていると思う中、
なぜ再開可能なのか、よく分からない状況です。
神戸大病院感染症内科の岩田健太郎教授のインタビューが、
神戸新聞に掲載されていました。
端的に大事なことが語られていると思います。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202004/0013244021.shtml
本題と少しそれた話をします。
インタビューの中で、岩田さんはこう語りました。
「抑え込みがうまくいっているかどうかは、施設内を見て詳細を確認しないと、一概には言えない。」
一概には言えない。
この言葉、昨日読んだ判例本の中でも出会いました。
同族株式の評価について、
譲渡前、譲渡後、どちらの持株関係で評価するかについて、
東京高裁が述べた言葉です。
「その株式を譲渡前の支配関係、あるいは譲渡の後の譲受人が有する支配関係のどちらで評価するかは、一概に決めることはできない。双方の会社支配の程度によって結論を異にする事柄である。」(東京高裁平成30年7月19日判決)
そう、最近の報道でも、
白か黒かの二分論で論じられることが多いように感じます。
その方が、
書くほうも読むほうも楽なのでしょう。
でも、世の中、そんなに単純ではない。
白と黒の間にはグレーがあるもので、
そのグレーの濃淡もさまざまでしょう。
つまりは、判決で述べられているように「程度問題」なのです。
『否定と肯定』という映画がありました。
2016年、米英合作で、
ナチスによるホロコーストを否定するのか、肯定するのか。
邦題は上になりましたが、
原題は“Denial(否定)”です。
ホロコーストを否定することは論外。
二分論にして、
同じ土俵に置くことが間違いということもあるのです。
世の中が複雑になってきて、
複雑なことを複雑なままに受け入れるには労力がいるでしょう。
それでも、
賛成か反対か、
肯定か否定か、
といった二分論による分かりやすさに逃げ込むことなく、
「一概には言えない」という態度を保持しなければならないときがある。
そのことを、今、よく噛みしめていたいと、私は思います。