2019.08.18

引き続き厳しい

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 昨日、毎日新聞を読んでいると、
 京都市の決算に関する記事が掲載されていました。

 少し長いですが、
 その出だしの記述を引用してみましょう。

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 京都市は2018年度の決算(速報値)を発表した。景気の回復基調に支えられ、一般会計の実質収支はプラス4億円(前年度比横ばい)となり、9年連続の黒字を確保した。一方、相次いだ災害の復旧・支援に118億円(市負担分99億円)の財政出動をするなど支出も増加。将来の借金返済に備えた「公債償還基金」を67億円取り崩すなど、厳しい財政運営が続いている。

2019/8/17 毎日新聞
――――――――――

 黒字を確保。
 でも、厳しい財政運営。

 果たして、良かったのか、良くなかったのか。

 判断が難しいところです。
 
 
 ● 形式収支 = 歳入決算額 - 歳出決算額

 この形式収支ですが、
 何らかの事情で事業が終了せず翌年に繰り越す場合、
 財源は歳入に含まれるものの、事業支出は歳出に含まれない状態となります。

 その分、つまり翌期の歳出に充てるべき財源を差し引くのが「実質収支」。

 ★ 実質収支 = 形式収支 - 翌年度繰越財源

 判断が難しいのは、
 自治体の予算は単年度主義のため、
 ●の歳入決算額には、前年度からの繰越金も含まれること。

 さらに、
 起債による収入や基金の取り崩しによる収入は歳入に含まれ、
 地方債償還による支出は歳出に含まれること。

 つまり、実質収支が黒字でも、
 起債や基金(取り崩し)に頼っていれば、
 将来の原資を先食いしていることにもなりかねません。

 それが、まさに、今回の記事の後半部分。

「将来の借金返済に備えた「公債償還基金」を67億円取り崩すなど、厳しい財政運営が続いている」というところでしょう。
 
 
 実質収支が赤字になるのは、よほどのケース。

 実質収支が黒字でも、
 地方債や基金の状況がどうなっているか。

 つまり、過剰な債務がないかと、安心できる基金が確保できているか、
 というストックベースでの判断を併用していく必要があるでしょう。

 とすると、多くの場合、
 黒字だけれど引き続き厳しい財政状態、というケースが多いと思われます。


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