2019.06.23
「絶対」はあるか
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
絶対、と断言できること。
そう言われると、
人は「絶対」死ぬ、ということがまず思い浮かびます。
他にあるか。
うーん、どうなんでしょう。
話は飛びますが、
元文藝春秋編集長で作家の半藤一利さん(89)。
昨年の8月15日、
秋篠宮の悠仁殿下に、太平洋戦争のことを語る機会があったそうです。
「私は最初断ったんです。だって相手は小学校6年生の坊やですよ。そんな幼い子に単純明快に話せるようなことじゃない、無理です、と。だけど何度もお願いされて、じゃあさわりだけでも話しましょう、と出かけていったのが、8月15日でした」(21日、FRIDAY DIGITAL)。
最初に1時間ほどで、太平洋戦争のさわりを。
「私が話したことのひとつは、私たちの国は、”内陸に乏しい”ということです。北の北海道から南の沖縄まで、長~い海岸線を持っていて、海岸線の長さだけで言えば、日本は世界で6番目に長い。ところが真ん中に山脈が通っているから、生活できる土地は少なく、国民は海岸にへばりついて生きなければなりません。
そして、こんな海岸線を守ろうとしたら何百万もの兵隊が必要になります。
要するに、この国は、戦争になったら守れっこないんですよ。さらに現在は、原発が海岸線沿いにずらっと並んでいる。ますます守れないじゃないですか。こんな日本が戦争をしていいわけがない。これが本当のリアリズムであり、地政学というんです」(同)。
悠仁殿下からは、「アメリカはなぜ広島と長崎に原爆を落としたんでしょうか?」と質問があったのだとか。
「あの戦争は片一方だけが悪いんじゃない、向こう(アメリカ)も悪いんだという説が当節盛んです。ですが、少なくとも戦争の状況に持って行くまでは、日本の責任が大きいと私は考えています」(同)。
その半藤さん。
著書はたくさんあるのですが、この度、初めての絵本を出すそうです。
タイトルは「焼けあとのちかい」(大月書店)。
中学2年生の1945年3月10日に起きた東京大空襲。
なんとか生き延びた翌朝、胸に刻まれた思いがあるといいます。
「この世に「絶対」はない、とうことを思い知らされました。絶対に正義は勝つ。絶対に神風がふく。絶対に日本は負けない・・・そのとき以来、わたくしは二度と「絶対」という言葉はつかわない」(19日、毎日新聞)
今回の絵本の最後のページ。
半藤さんは手書きでこう書きました。
「戦争だけは絶対にはじめてはいけない」(同)
生の体験を聞くことが難しくなってきた世代の方の、貴重な声。
2つ目の「絶対」として、胸に刻んでおきたいと思います。