2018.12.09
空中を漂う言葉
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
先週の減価償却の話もそうなのですが、
最近感じることの1つは、
会計の会話が空中を漂っているように聞こえる、ということ。
期限切れを迎えそうな欠損金がある。
今期は、減価償却前で黒字が出そう。
この場面、税理士が気にするのは金融機関のみ。
特に問題なければ、償却を止める、というのが、
私も含め、周囲の税理士の大勢の意見でした。
たとえば、今日の日本経済新聞1面。
ソフトバンクの上半期利益は、トヨタを超えたそうです。
今期、日本一になるかもしれない。
今期がダメでも、来期は日本一の可能性がある。
「19年6月に約1兆円の利益を「予約済み」なのだ。正体は約3割を持つ中国・アリババ集団株を16年に一部手放した際の利益。アリババ株の需給への影響も考え、単純に売らず、デリバティブ取引をかませて来年6月の先渡し契約を結んだ。アリババの株価に応じ変動はするが、9月末と同水準なら1兆円超の利益が出る」。
まったく実感を伴わない言葉と数字の羅列です。
「上期のSBGの連結営業利益の4割弱は「未実現評価益」、すなわち「未来のアリババ株」が占める。投資先の企業価値を四半期ごとに評価し値上がり分を計上する会計上の概念で、キャッシュは生まない。キャッシュの源泉「営業キャッシュフロー(現金収支)」はトヨタの半分以下。利益の「質」は大きく異なる」。
キャッシュを生まずに、利益を生む。
その会社が、いったい、何を創造しているのか。
私にはうまく想像することができません。