2018.09.16
史実に忠実という虚構
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
各地のお城を見たり、天守閣に上ったりするのが、地味に好きです。
今年、ゴールデンウイークに訪ねた広島では、もちろん広島城に行ってきました。
昨年は、地震で石垣や天守なども大きな被害を受け、復元中の熊本城へ。小学校3年生までを過ごしたのが熊本。年に1度の写生大会で熊本城の屋根をピンク色に塗り、佳作に入ったこともありました。周りを1周して、1日も早い復元を祈った次第です。
一昨年行ったのは福井の丸岡城。小さいながらも当時の面影を残したお城を堪能しました。その後、愛媛の松山城も行く予定でしたが、家族が体調を崩してキャンセル。長野の松本城は、お盆で1時間待ちのため、外から眺めたのみ。
高知城や犬山城も印象に残っています。
行ったことがあるかどうか、定かでないのが名古屋城。10年以上前の一時期、名古屋で生活している時期もありましたので、その時に行ったかなあ、という程度です。
その復元で、今、揺れています。
木造。
史実に忠実。
エレベーター設置なし。
そんな復元を目指しているのが、河村たかし名古屋市長。
これに対し、市民や障害者団体などは反発。今は、鉄筋コンクリート建てでエレベーターがあり、5階まで車いすで見学が可能です。エレベーターをなくしてしまうと、現状よりバリアフリー水準が下がってしまうと。
木造化は市長選の公約だったようで、「(木造化が)できないなら、一戦交えます。市長を辞めるくらいの気持ちでいる」(5月29日、毎日新聞)のだとか。
私には、空虚な言葉に聞こえます。
木造でないと守れないもの、って何でしょう。
既に、一度、鉄筋にしてしまった。
それを木造に戻すことが「史実に忠実」と言えるのでしょうか。
建造物という物質、物体と。
城があった地面と、空間と。
目に見えるものを守ることも重要ですが、目に見えないものを守ることに、もう少しエネルギーを注いでもいいのではないかと、私は感じます。
一戦交える。
市長を辞める。
そんな強い言葉で守ろうとしているのは、ご自身の面子でしかないように、私には聞こえます。本当に大事なものを守ろうとする人は、静かな言葉で語るものです。