2018.09.23
資産老朽化比率
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
17日の日本経済新聞に、16年度資産老朽化比率の分析結果が掲載されていました。
1億円で資産を取得した。
7000万円まで減価償却が進んだ。
この場合に老朽化比率は70%と計算されます。
自治体が決算で作成している公会計では、減価償却は定額法。減価償却が進むということは、年数が経過していることと、理論的にはイコールです。
理論的に、と留保したのは、公会計作成開始時の資産評価をどのように行なったか、自治体によって差があるから。
道路や学校や水道や橋梁など、特にインフラ資産について、公会計作成前まで金額情報を持っていませんでした。そこで、一定の仮定を置いて、開始残高の計算を行なうことに。今回の老朽化比率も、その仮定の上に計算されています。
老朽化比率=減価償却累計額/取得価額
この分母が仮定に基づいている、ということです。
回答のあった39道府県で、もっとも老朽化比率が高いのは、島根県の74.5%。一方、もっとも低いのは、奈良県の36%。
仮定に基づくとはいえ、高度成長時代に整備された資産の老朽化が進み、かつ、財政が豊かとは言えない自治体も多いはず。
「古くても長寿命化対策を講じるなど適切に維持・管理されていればよいが、財政難の自治体ではコストのかさむ大規模な修繕や建て替えなどが先送りされがち。道路などのインフラでは大地震など災害時に問題が露呈しかねない」。
これは、その通り。
自治体の監査でも、頻繁に話題になる論点です。
急にサービスが提供できなくなる。
これが住民にとっては、一番困ることですから。