2018.05.20
事の本質を突き詰める
こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。
税理士本郷尚さんの『資産税コンサル、一生道半ば』(清文社)を読みました。
株式会社タクトコンサルティングを立ち上げて40年。今は社長を退き、会長となられた本郷さんの半生記です。
本郷さんの文章に初めて触れたのは、9年近く前に読んだ『心をつかめ!コンサルタント』(住宅新報社)でした。中でも、同業者の悪口はマナー違反という話が印象に残っています。
「お客さまが顧問の先生に対する悪口や不平不満を言ったときは、静かに聞いておくだけにしましょう。一緒になって「そうですか、その程度の仕事で、その金額は高いですね…」などと言わないこと。聞き流しておけばいいのです。
お客さまの一方的な話だけで、こちらがとやかく言うのはお門違いです。相手方にも、それなりの事情があるものです。お客さまの言い分を鵜呑みにして、うっかり話すと、その話が間接的に相手に伝わることがあります。同業者に悪口を言われれば、相手の先生はひどく傷つきます」(P.50)。
この話は、弁護士・公認会計士・税理士の関根稔先生も、どこかで語っておられました。同業者の悪口を言っても、回りまわって自分に返ってくるだけだと。
今回の本でも学ぶことは多々あったのですが、資産税に特化した本郷さんの話は説得力があります。
「「借金をしてアパートを建てれば節税になる」とよく言われますが、それは勧める側の論理。節税なんて、実際の事業にとっては二の次、三の次です。一番大事なのは、賃貸市場はどうか、将来にわたって需要が見込める立地かを見極めること」(P.57)。
そんな本郷さんと関根先生の対談が、巻末に収録されていました。ここでも節税の話が出てきます。
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(P.217)
関根 昔は、親から子や孫へ財産を残す「縦」の相続でした。これは、田地田畑を子どもたちに承継させる江戸時代の文化が、明治にできた民法の根っこになっているからです。でも、今のように夫婦で稼いだ財産であれば、夫から妻へ、あるいは妻から夫への「横」の相続でいい。
本郷 「縦」の相続だから、節税、節税と言いたくなるのです。「横」の相続だったら節税対策なんてほとんどいらない。
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子どもに財産を残す必要はない。その見解で一致するお2人ですが、関根先生の話が秀逸です。
「子どもたちは財産形成に寄与していないし、独立して生きていけるだけの教育投資をしているわけですから」(P.216)。
関根先生の本も含め、お2人の著書を何度も読み直す必要がありそうです。