2017.10.15

公会計の原点

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 先日、研修会で、ある自治体の公会計の取り組み状況を聞く機会がありました。

 原点は資産の把握(による減価償却の実施)と複式簿記の導入。そんな話を聞いて、なるほど、と公会計の原点を思い出しています。

 資産情報がない。
 あっても金額情報がない。

 膨大な資産を保有している自治体ですが、その全貌が把握できているかというと、必ずしもそんなことはありませんでした。
 
 
 隣の家がベンツを購入。でも、一方でローンを組んでいるかもしれない。

 そのローン側は自治体会計でも見ていたけれど、資産側に焦点をあて、負債と資産のバランスがどうなっているか、そもそも資産価値がいかほどなのか、その資産を更新していくにはいつ・どれくらいのコストがかかるのか、といった点を明らかにしていこう。それが公会計導入の大きな目的の1つであったことは間違いありません。
 
 
 もう1つの複式簿記導入。その自治体では、期末一括仕訳ではなく日々仕訳を選択されました。さらに、その複式仕訳自体を、各原課で実施してもらう。そうすることで、財政に携わる部署だけでなく、全庁的に会計や資産管理といったことに対する意識を向上させていこうという意図があります。

 もちろん、トップダウンでの意思表示も必要でしょう。でも、その実効性を担保するのは、各原課における地道な取り組みの積み重ねです。1人ひとりが、自分のこととして意識を高める。そうすることで、担当者が異動しても制度として永続していく基礎が構築されるのではないでしょうか。
 
 
 この公会計の取り組みを、いかに予算編成につながていくか。「最も重要なのは予算」とその自治体の方はおっしゃいました。100%同意します。

 今の公会計における統一モデルは、その前の基準モデルを基礎としています。そして、その背骨を作った方と15年ほど前にいろいろと議論しましたが、やはり原点にあったのは予算編成(意思決定と言い換えてもいいでしょう)にいかに反映させるのか、という点でした。
 
 
 資産の把握と複式簿記。その結果として、意思決定過程への反映。まだまだ道半ばですが、公会計の取り組みを日々、積み重ねていく必要があるのだと思います。



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