2017.05.28

首長と憲法

こんにちは、大阪発公会計ブログ担当の船戸明(公認会計士)です。

 首長(知事、市長、町長、村長)と地方議会の議員は、いずれも選挙によって選ばれます。二元代表制とも言われますが、大阪都構想の時など、そのために主張が錯綜していたような記憶もあります。

 この二元代表制の根拠は、憲法第93条第2項。

「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」

 この二元代表制に、多様性が加わってもいいのでは、とおっしゃっているのが、元鳥取県知事の片山善博さん。首長や議会議員に立候補する人が少なくなったという悩みをよく聞くという片山さんはこう言います。

「たしかに、選挙に出馬するには障害が多すぎる。筆者自身の体験でいえば、選挙運動そのものが大きな心理的障害だった。選挙とは所詮は自分を売り込む作業にほかならないが、見ず知らずの人に自らの利点や美点を説くのははしたないことで、慎みを大切にする人間のやることではないのではないか。謙譲を是とする日本の社会に選挙はなじまないと、しみじみ思ったものである。・・地方ではそうした傾向がいっそう強いから、それが地方の首長選挙で人材難を来している一因にもなっているのだろう」(『私にとっての憲法』岩波書店、P.125)

 そして、二元代表制以外の選択肢として、議員内閣制をあげています。「国政において首相を国会議員が選ぶように、自治体でも議員の中から市町村長を選ぶ」方法で、英国の自治体では一般的だそうです。

 あるいは、シティマネージャー制。「議員たちが、実質的な首長職を任せるにふさわしいと思われる人を内外から選ぶ」手法で、戦前の旧東京市でも採用されていたのだとか。

 確かに、とある自治体では議員への成り手が減っているという話を聞いたことがあります。

「立候補するような人に投票したくない」

 そう言ったのはコラムニストの小田嶋隆ですが、当の立候補した人たちもそう感じているのだと、片山さんの心情を聞いて思いました。

 と同時に、自分の足元であり地元でありながら、首長選挙や議員選挙に関心を抱いていない自分もいます(投票には「一応」行っていますが)。もう少し、足元のことに関心を持たなければと思いつつ、次回もきっとこれまでとあまり変わらないのだろうなあとも思いつつ。

 でも、考えるきっかけはいただけたような気がしています。


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